マネージャーをしていると、自分ではないだれかに仕事を振る機会がとってもたくさんあります。
やりがちな失敗としては、「これよろしくお願いします!」と仕事を振ったのはいいものの、できあがった成果物がこちらの想定とズレていて納期ギリギリに修正が必要になるケースです。
筆者もよく同じような失敗をしたため、それを踏まえて失敗しない部下への仕事の振り方をご紹介します。
目次
部下に仕事を振る目的を確認
マネージャーが部下に仕事を振る際には、一般的に2つの目的のうちどちらかを目指していることが多いです。
それは、
- 仕事を振る部下を教育する目的
- 単純にその仕事を終わらせる目的
です。
わかりやすく言うと、次から部下にその仕事をできるようになってほしいのか、とにかくやっつけたいのか、ということです。
どちらの目的を持つかによって、仕事の振り方は少し変わってきます。
教育目的の場合の振り方
部下の教育目的で仕事を振る場合、以下の3つに気をつけて振ることがオススメです。
- 最初にきちんとやり方を伝える
- 途中経過の報告の内容タイミング、頻度をこちらが決める
- できるようになるまで時間を使うと覚悟を決める
最初はだれだってうまくできない
教育目的で部下に仕事を振ったなら、どうやって進めるのかを最初にきちんと説明をしましょう。
これがないと、できあがる成果物のほとんどがこちらの想定とは違ったものになってしまうからです。
たま〜に、なにも言わなくても自分で調べるとかして一発でできる人もいますけどね。
稀です。
たとえば、
会議の資料作成をお願いします!
と、その部下に次からも作ってもらうつもりで、ざっくり仕事を振ったとしましょう。
自分で調べてやらないと身につかないからな とマネージャー側が思って、あえてざっくりした依頼をするのも同じケースです。
その結果、できあがった資料をチェックしたときにこんな風に思った経験はありませんか?
あ、ここの数字違う
ほしい部分が入ってないな
文字ばっかりだな、これは図で説明できるでしょ
そして、できていないことに対して思いっきり指摘をして、残業させてしまうという事態です。
本来の納期直前に部下に提出依頼をしていたら「あ、終わった……」って思うヤツです。
これは、最初に作り方やほしい情報を伝えていなかったマネージャー側が悪いです。
仕事を振られた部下にとっては初めての内容なので、できなくて当たり前です。こんな事態を防ぐためにも最初にどういう風に進めればいいのかをきちんと説明してからスタートさせましょう。
途中経過の報告は必須
教育目的で部下に仕事を振る場合は、こまめな報告タイミングを事前に設定しておくことが結構重要だったりします。
報告をもらう機会を設定せずほうっておくと、結果としてできあがったものが全然ダメな状態であることが往々にして発生するからです。
部下に「できました!」の報告だけをさせるのではなく、最低でも中間報告を1回設けて、途中経過を確認するようにしましょう。
ちなみにここでのポイントは、1回目の報告をかなり早めに設定することです。
早めに全体像の報告をさせることで、部下が方向性を間違えたまま仕事を進めるリスクを格段に低く抑えられるからです。
また、報告をしてくれない部下の対処法については、リンク先の記事でまとめています。
ぜひ参考にしてください。
覚悟を決めておかないと、質問や相談されたときにイラッとしてしまう
教育目的で部下に仕事を振る以前に、部下を育てるのであれば「自分の時間が少なくなる」という覚悟をしておくべきです。
でなければ、振った仕事に関する質問や相談を部下からもらったときに、「今忙しいのに……」とイライラしながら対応をしてしまい、部下を萎縮させてしまうからです。
初めてやることはだれだってうまくいかないので、それをカバーするために指導する側が時間とエネルギーを使うことは必須です。
逆に言うと、最初にみっちり時間を取って部下ができるようになれば、
それ以降時間を使わなくて済む
ということでもあります。
部下の教育は、本来とっても時間がかかることです。できるようになるまで時間がかかりますが、一度できるようになれば仕事を任せられるため、教育目的で仕事を部下に振る場合は、初期投資と思って時間を使う覚悟を決めましょう。
後輩の育成が面倒だな〜と思われた方は、以下の記事をご覧いただくのがオススメです。
終わらせることを優先する場合の振り方
教育ではなく、単純に目の前の仕事を終わらせるために部下に仕事を振る場合は、以下2つのポイントだけ気をつけるようにしましょう。
- 振る相手の順番は得意な人>できる人
- 真の納期の前日に部下用の納期を設定し、終了報告だけをもらう
「できる」より「得意」のほうが圧倒的に早い
単純に仕事を終わらせることを考える場合、得意な人から順に振るようにします。
これは、その仕事が「できる」状態よりも「得意」な状態の人のほうが、取り組む姿勢に違いが生まれ、早くいいものができるからです。
普段からチームの得意不得意を把握しておいて、仕事が発生したときに得意な人に優先的に振ることができるようになれば、チームの生産性は格段に向上します。
リソースを最大限活用できている状態、って感じですね!
報告は最終報告だけでOK
得意な人はそこまで深く確認しなくてもいい仕事を早くしてくれます。
そのため、教育目的で仕事を振るときのように、細かく中間報告を設ける必要はありません。
報告のための準備が必要になるので、お互い逆にストレスに感じてしまいます。
成果物として提出する必要がある会議資料のようなものなら、提出前日までに部下に作成を依頼して、当日に自分で簡単にチェックするようにすればまったく問題なしです。
できる人との仕事はできるだけスマートにこなしていきましょう。
仕事を振る際に目的によらず共通すること
仕事を振る目的によって気をつけるべきポイントがそれぞれ違いましたが、どちらの目的だったとしても共通して抑えておくべき前提があります。
それは、仕事を振る相手のレベルによって事前に解説が必要かどうかが決まる、ということです。
教育目的で仕事を振る場合は、相手がそもそもその仕事をできないので当たり前ですが、単純に終わらせたい目的の場合もこのチェックは必要です。
なぜなら、
分野的には得意だけど、今回の内容はちょっと違う
みたいなケースの際は、部下がその仕事をできない状態だからです。
たとえば、パワーポイントでの会議資料作成が非常に得意だという人がいて、その人にオンラインセミナーの資料作成を依頼するとしましょう。
同じパワーポイントによる資料作成という分野なので、一見すると問題ないように思えます。
ただ、会議資料は箇条書き等を使用して見やすくするのに対し、オンラインセミナーの資料は箇条書きでスライドに動きが生まれないのはあまり好ましくありません。
このように、同じ分野でも根本的に内容が違うこともありえます。記載した例では、「オンラインセミナーの資料を作成したことがあるか」という観点でレベルを確認する必要があるのです。
この、相手の状況によって伝え方を変える部下との接し方は、SL理論に当てはめてみるとわかりやすいです。
SL理論について、具体例を交えて解説した記事もあります。あわせてご覧ください。
方法はどうあれ、仕事を振る際に相手のレベルを確認することは、その後の仕事を円滑に進めるためにも必要なことです。
さいごに
失敗しない仕事の振り方は、仕事を振る目的によって内容の説明の量を変えたり、報告頻度をコントロールしたりすることです。
前提としてマネージャーである自分が実務をしないことが当たり前です。実務をしない分ほかのことを考えられるので、部下に仕事を振る前に一旦立ち止まって目的を自問自答することを徹底しましょう!