- 期待していた部下が思った成果をあげてくれなかった
- 期待していた部下が仕事を納期に間に合わせられなかった
- 期待していた部下が辞めてしまった
悲しいことですが、実際の現場ではよくあることです。
マネージャーの皆さん。はっきり申し上げますが、部下への期待はマネジメントに一切不要です。
本記事では、部下への期待がマネジメントに不要な理由をご紹介するとともに、逆にマネジメントに何が必要なのかを解説します。
目次
部下への期待がマネジメントに必要ない4つの理由
マネージャーが組織をマネジメントをする上で、部下への期待が必要ではない理由は以下の4つです。
- 期待することで、不測の事態に備えられなくなるから
- 期待することで、期待されていないとわかったら手を抜かれるから
- 期待することで、仕事の進捗が滞るから
- 期待することで、マネージャーが疲れるから
部下に期待すると、不測の事態に備えられなくなる
部下に期待することでマネージャーである自分自身が次の手を考えなくなってしまいます。
たとえば部下に仕事を任せたとして、「あいつはきっとやってくれる」と期待しているとしましょう。
そうするとマネージャーは、任せた仕事を部下が完遂すると期待して万が一の対処法を考えなくなります。この状態では、部下が失敗したときはそのまま仕事の失敗となり、リカバリーが難しくなります。
部下に仕事を任せた後、「きっとやってくれる」と期待するのではなく、「失敗したらこの方法でいこう」と次の手を事前に考えておくことこそがマネージャーに必要なことです。
部下が仕事を無事に完遂し、準備した次善策を使う必要がなくなった場合はマネージャーの準備が予想を上回ったと自分の事前準備力を褒めればよいのです。
部下に期待すると、こちらが期待を示さなかったときのパフォーマンスが落ちる
常日頃から部下に期待してそれを伝えていると、マネージャーから期待を伝えられなかったときの部下のパフォーマンスが目に見えて落ちます。
また、「期待している」という言葉が定型文のような扱いになり、言葉をかけるごとにその効力を失っていきます。
「期待している」という言葉をかける目的は、部下に能動的に仕事に取り組んでもらうことである場合が多いです。ですが、筆者は以下のように思います。
その目的を達成するために必要なことは「なぜその仕事をするのか」という背景の説明であって、「期待」という感情ではありません。
部下が仕事の内容や背景に納得している場合、期待などかけずとも能動的に取り組みます。そして、その結果うまく仕事をこなすことができたら、「お疲れさま」と声をかければ事足ります。
このように、部下に期待することが能動的に仕事をさせる目的を達成する手段ではないのです。
部下に期待すると、仕事の進捗が滞る
「うちの部下は優秀だから、きっと言わなくてもやってくれる」という期待をしていると、部下がその仕事をやってくれなかったときに仕事が終わっていないどころか、余計な不協和音を職場に生み出すことになります。
仕事を進めるために必要なのは、部下への期待ではなく明確な目的と緻密な計画です。
不明確な「きっとやってくれる」という期待でスケジュールを組み立てると、自分がコントロールできない計画となり、仕事は立ち行かなくなる可能性が非常に高くなります。
余計な感情を排除し、だれがどの仕事をするのかを明確にして仕事を進めましょう。
部下は自分とは違う人間です。部下は●●だからというまやかしの理解ときっとやってくれるという淡い期待は捨て去りましょう。
部下に期待すると、マネージャーが疲弊する
部下に期待していると、うまくいかなかったときにマネージャーが対応することが増えるため、結果的にマネージャーが疲弊します。
部下に期待して仕事を任せた結果うまくいかなかったときに発生することは以下です。
- うまくいかなかった仕事のリカバリー
- うまくいかなかった部下に対するショックの克服
部下に期待していなかった場合は後者は発生しません。それどころか、部下の仕事がうまくいかない可能性を最初から考えておくこともできるので、リカバリーを「考える」必要がなく、行動を起こすのみとなります。
子育ての場合は子どもに期待して褒めてあげる必要があると個人的には思いますが、仕事でそこまでする必要はありません。
最小限のエネルギーで最大限の成果を出すのがマネージャーにとって必要なことです。余分なエネルギーを使うシチュエーションを自分で作り出さないようにすることが吉です。
成果を出すマネジメントとは?
部下に期待することなく、成果を出せるマネジメントとはどのようなものでしょうか?
それは、部下の活動の事実を数字に基づいて確認し、部下の次の手段を確認することです。
計画の確認→成果の確認→改善策の確認→成果の確認というPDCAを回すことが、組織でも個人でも目標達成のために最短距離かつ必須なことだからです。
逆の立場で考えたときに、「期待してるぞ!」と言って何もしてくれない上司と、個人の成果を出せるように導いてくれる上司なら、どちらの方がいいでしょうか?
もしあなたが前者の方がいいと思うなら、マネージャーを下りて教育係になられた方がいいでしょう。
部下の「言わなくてもやってくれた」という善意を計画に入れて「きっとやってくれる」と期待するのではなく、成果を出すことに徹底的にこだわりましょう。その方があなたの評価は間違いなく上がります。
さいごに
部下への期待はマネジメントには不要です。マネージャーとしてのスキルを上げていきたいなら、部下は一切能動的に動かないと悲観的な計画を立てて、計画を立て切った後に楽観的に行動していきましょう。