仕事の成果が芳しくない部下の中には、言い訳が多い部下がいます。
言い訳の多い部下と対峙したときの、管理職側の率直な感想は「周りのせいにばっかりしやがって」です。
とはいえ、それをそのまま伝えたところで部下が塞ぎ込んでしまってバッドスパイラルに入るのは目に見えています。
そこで本記事では、言い訳の多い部下がバッドスパイラルに入るのを阻止し、いい感じにコントロールして成果を出させる方法についてご紹介します。
目次
言い訳が多い部下をコントロールして成果を出させる手順
仕事がうまくいかなかったときの言い訳が多い部下に、うまいこと成果を出させるように導く手順は以下のとおりです。
- まず言い訳は聞き流す
- 次はどうするかを部下に言わせる
- 改善策を実践してどうなったか確認する
まず言い訳は聞き流す
部下から発せられる言い訳は、適当な相づちで聞き流すのが正解です。
仕事がうまくいかない外的要因を並べられたところで部の目標が変わるわけではありません。はっきり言って時間のムダだからです。
管理職・上司に必要なことは成果を出すことと、そのために必要なことを実践することであって、できない理由を聞いている時間など必要ありません。
以下のような相づちで、適当に切り上げましょう。
- そうでしたか
- そんなことがあったんですね
- それは大変でしたね
間違っても「それってどういうこと?」と深掘りしてはいけません。部下に自分の言い訳がいかに正しいか力説させる時間を与えるだけだからです。
サクッと聞き流して、本題に入りましょう。

筆者は割とマジで部下の言い訳を「ふーん、そうなんだ」で切り捨てます。
次はどうするかを部下に言わせる
部下の言い訳を聞き流した後に、「次はどうしますか?」と質問してください。
自らが考えた言い訳を自分自身で分析し、部下自ら改善してもらうためです。
実際の部下とのやりとりは、以下のようなものになります。
お客さまとお会いすることはできたんですが、先方に時間がないって断られたんですよね。


そうでしたか。で、次はどうしますか?
えっと……事前に確認の連絡を入れるようにします。


わかりました。ではお願いします。
次の手段をどうするか考えてもらうことは、言い訳が多い部下だけではなく、ほとんど全ての部下に対して有効です。
改善策を考えることは、原因をしっかり理解していなければできません。従って、部下自身の中で超高速でPDCAを回すことができます。
そのため、その場ですぐ次の手段について確認しましょう。
加えて、「どうやったらうまくいくか」に話の焦点を合わせ、話の内容をすり替えることもできます。
言い訳はつまり、「うまくいかなかった理由の羅列」であり、言い訳を話す時間は生産性の高い時間ではありません。上記の会話例も、会話の流れ自体は非常にスムーズですが、「次どうする?」の一言でネガティブな話題から一気にポジティブな話題に切り替えることができます。
改善策を実践してみた結果を確認する
部下が自分の言い訳を乗り越えて考えた改善策を実践した結果を必ず確認してください。
必ず上司からの確認が入ることで、「言い訳をしても成果が出るまでひたすら聞かれる」と部下にプレッシャーをかけるためです。
改善策を実施する予定の日の終業間際に「あの作戦はどうでしたか?」と必ず確認を入れましょう。
そうすると高確率でまた言い訳がきます。部下から言い訳が出てきた場合は、また聞き流すところから始めて、次の手段を確認してください。
また、この時点で次の手段を確認することに加えて以下の2つを追加で確認しましょう。

今検討している手段は最善だと思うか?

同じ状況になったらどうするか?
2回目の言い訳も踏まえて最善の改善策を考えてもらうことと、同じ失敗を2度させないためです。
ここまでの手順をループして何度か繰り返すことで、部下自身も最終的には成果を出せるようになります。

報告しにこない、ということはうまくいっていない、とほぼ同義のため、こちらから確認しましょう。
言い訳が多い部下の心理
言い訳が多い部下は、言い訳をしている心の中では以下のようなことを考えています。
かまってほしい
こんなに大変なことを私はがんばっているんです! と上司に気にかけてほしいと思っている部下がいます。
今の環境で成果を出そうとがんばっている姿はこちらからも見えているけれど、言い訳が多い部下はこのタイプです。
かまってほしい部下の場合は、「次はどうしますか?」と聞いて出てきた改善策に対して、「いいと思います」と一言承認を付け加えるだけでOKです。
全力でやっていないことを隠したい
同僚が一生懸命やっている中、自分がそうではない状態であることを隠したい場合に、部下は言い訳を使います。
周囲の中で現時点で自分が劣っているということを言いたくないからです。
複数の社員が集まった中で、どこか斜に構えている部下がこのタイプに該当します。
この場合は、全力でやっていなかったことや外的要因などの過去に着目して追及するのではなく、未来に目を向けて「これからどうするのか」に集中して議論した方が、本人を伸ばすことができます。
怒られたくない
上司に怒られたくない部下は、100%言い訳を使ってきます。
成果を出せていないもっともらしい理由があることで、上司からは怒られないと思っているからです。
これは、部下が「成果を出せていないと怒られる」という思いを上司に抱いていることと、上司の「成果を出せていないからといって怒らない」と思ってはいても強ばった表情をしてしまっている、というボタンの掛け違えで起きている現象です。
成果が出ていないのなら、成果が出る手段を考えて実践するまで淡々と付き合う、という姿勢を行動で示すことができれば、いずれ解消されるでしょう。
言い訳するな! はNG!?
言い訳が多い部下に対して、どストレートで「言い訳するな!」と伝えるのは、はっきり言ってNGです。
言い訳をしてしまう部下の心理を「より一層言い訳をしてしまう方向」に見事に突いてしまうからです。
言い訳するなと言われることによって、部下は以下の感想を抱きます。
報告しても聞いてくれない(かまってくれない)

成果が出ていないことを叱責された(ほかの人より劣っているレッテルを貼られた)

怒られた

つまり、「言い訳するな!」と叱責することは、言い訳が多い部下を量産するだけの行動なのです。

今後はしないようにすることをオススメします。
さいごに
言い訳が多い部下に成果を出させる方法について記載しました。
言い訳が多い部下は、入社した瞬間から言い訳が多かったわけではなく、きっと何かがあったことによって言い訳をするようになってしまったのです。
そのため、頭ごなしに否定するのではなく、成果を出せるように導いてあげるのがスマートな管理職の仕事です。

明日から、粛々と「次どうする?」マシーンになりましょう。