初めてのプロジェクトを任された場合、高いモチベーションとともに、どうやって進めたらいいのかという疑問や不安もある場合が多いです。もちろん、初めてのプロジェクトリーダーになったのなら、それはやったことのない仕事なので不安があるのは当たり前です。
プロジェクトリーダーとは、そのプロジェクトを成功させることに責任を持つ人です。本記事では、任されたプロジェクトを成功させるために、まず検討する必要がある6つの項目についてまとめました。
各項目で例も記載していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
事前に考えるべき6つの項目
プロジェクトリーダーがプロジェクト始動前に考えるべきことは、以下の6つです。
- 目的 –このプロジェクトは何のために行うのか–
- 目標 –このプロジェクトが成功したことが分かる指標は何か–
- 手段 –このプロジェクトはどうやって進めていくのか–
- 管理手法 –このプロジェクトの進捗状況をどうやって管理するのか–
- 人員 –このプロジェクトの成功にはどんな役割の人が何人必要なのか–
- 期限 –このプロジェクトはいつまでに成功させるのか–
例として、具体的に考えてみると下記のようなものになります。
目的:顧客満足度を向上させたい
目標:リピート率を10%向上させる
手段:マイナスな意見や要望の集約と優先順位づけを実施し、ひとつずつ改善する
管理手法:改善項目をガントチャートにて期間と進捗率を管理する
人員:リーダー1名、社内折衝役1名、現場意見集約者1名、データ収集役1名
期限:1年間
報告資料としてパワーポイントなどでまとめる必要がある場合は、以下の記事にポイントをまとめていますので、合わせてご確認ください。
それぞれの項目について、順を追ってひとつずつ説明していきます。
プロジェクトの準備1–目的の明文化
そのプロジェクトは何をしたくて発足したのかという目的を明確にすることが必要です。具体的にいうと、「だれの」「何を」解決したくてプロジェクトが発足したのかを明確にすることです。
これがないと、プロジェクトの進捗が滞ったり、課題にぶち当たったりしたときなどの辛いときに「何のためにやっているのか」わからなくなってしまい、途中で頓挫してしまうからです。
誰しも今まで上司から指示された仕事で、「これは何のためにやっているんだろう?」と疑問を持ったことは1度以上はあると思います。
上司からの指示は強制力があるのでそれでも遂行するかもしれませんが、プロジェクトのような自主的に参加するものは、通常の業務以上に目的が明確でなければ参加者のやる気が続きません。
そのため、「何のためにプロジェクトを実施するのか」を真っ先に明文化するようにしましょう。
ちなみに、目的は必ずしも数字で示す必要はありません。
目的は「こうなりたい」とか「こうしたい」と思ったものを言葉にするものだからです。その方がほかの人にも伝わりやすいので、賛同者を得やすいです。
目的を明文化するメリット
目的を明文化するメリットは、プロジェクトに参加するだれもが「今のやり方は最善か?」と自問自答することができるようになることです。
具体的に振り返りができるのは以下のような項目です。
- 定めた目標を達成することで、本当に目的を実現できるか?
- 実際に行っている施策は正しいか?
- 管理・把握している数値は必要なものか?
- 人員は最適に配置されているか?
途中でプロジェクトが目指しているものから道を外れないよう、そして外れていたなら正しく修正できるよう、プロジェクトが達成したい目的を明確にする必要があります。
プロジェクトの準備2–目標の設定
目的が明文化できたら、次は目標の設定を行います。
目標は、「目的を達成できたといえる状態を数字で表したもの」です。
ここで数字を使います!
目標設定をする理由は、プロジェクトが成功したのかどうかを振り返ったり、途中のプロジェクトの進行度合を全員で共有したりするためです。
目的だけあって目標が定まっていない場合、終了したときに果たしてそのプロジェクトが成功したのかどうかがわかりません。さらに、誰かに報告するときにどれくらいうまくいっているのかも明快に答えられません。
そのため、目的を達成できたといえる状態を数字で表すようにしましょう。
ちなみに例では1つしか記載していませんが、目標は複数になることの方が多いです。目標が複数あって、小さなハードルを超えていく方が、進捗も目に見えてやりやすいからです。その分やらなければならないことも増えますが、達成感もひとしおとなるでしょう。
プロジェクトの準備3–手段の検討
目的や目標を達成するための手段を、だれもが行動に移せるレベルで具体化することも必要です。
何も手がない状態で始動すると、どうやって進めようかとイチから議論するもったいない時間が生まれてしまいます。
手段を考案するときは、プロジェクト内での認識のズレをなくすため、できるだけ具体的に決めることが必要です。
しっかり決まっていなければ、プロジェクトリーダーであるあなたが想定している手段とは別の手段でメンバーが仕事を進めてしまい、時間のロスが発生します。
最初から完璧な手段を検討する必要はない
事前に考えておく手段は「具体的」である必要はありますが、「完璧」である必要はありません。たたき台を作成できたら、あとはプロジェクト参加者との打ち合わせの中で昇華させます。
1人で全てを考えて漏れなく立案するのは無理ですからね。
「こんな手段で考えていますが、もっといい方法があると思います。ぜひ知恵を貸してください。」という感じで進めてみてください。そうすると参加者は悪い気はしませんので、前のめりで参加してくれることでしょう。
ある程度考えて全体に提示し、全員でブラッシュアップしていきましょう。
プロジェクトの準備4–管理方法の検討
手段によって遂行していくプロジェクトをどのように管理するのかを考えることも大切です。
これがなければ、どの担当者のところでつまづいているのか、どれくらい進捗しているのかがわからず、途中のテコ入れができなくなります。
そうなると訪れるのはプロジェクトの失敗です。
あなたが知らないうちに誰かがてんてこまいになってしまって期限を過ぎ、目標を達成できずに終わるでしょう。
そうならないように、不具合に気付ける仕組みを先に作っておきましょう。
管理手法の考え方
管理手法を考えるときは、以下の項目を重点的に考えましょう。
- 目標を達成するためにやらなければならないことの数
- 実施したことの実効性
やらなければならないこと(=工数)を明確にしておくと、進捗度合いが分かります。実施したことの有効性を明確にしておくと、取り組んだ内容が望んだ効果を出せているのかが分かります。
一生懸命やってみたけど成果がわかりづらいなんてことになると、その動きがどれくらいプロジェクトに貢献したのかもわかりませんし、意味があったのかどうか振り返ることもできません。
先を考えて準備をするようにしましょう。
プロジェクトの準備5–人員の検討
誰の力を借りるのか、どれくらいの人数が必要なのかを事前に想定しておきましょう。
途中で人を追加することももちろん可能ですが、その際には目的や目標を初めから説明する必要があり、時間がかかります。
早い段階で人員を固めておけば最初から一丸となってプロジェクトの成功のために動くことができます。
目標や手段を考えたときに「誰にお願いしたらスムーズにいきそうか」をイメージしながら人員を検討しましょう。
プロジェクトの準備6–期限の設定
プロジェクトの目的を達成する期限もしっかりと決める必要があります。
期限のないプロジェクトは緊張感が生まれないため、それぞれが後回しにしてしまって途中で必ず失敗します。
いつまでに実行するか決まっていない場合、よほど強い精神力と仕事の余裕がなければプロジェクトを遂行できません。
このように、プロジェクトを成功させたいなら期限は必須です。
仮に期限を決めづらいのであれば、そのプロジェクトの目的が大きすぎる可能性があります。
たとえば、「いつになるかはわからないけど、世界を平和にしたい」みたいなものです。
世界平和を実現したいけど、今の仕事が忙しいからちょっと待ってとなるのは目に見えています。
大きすぎる目的ならもう少し小さくして、期限を必ず設けるようにしましょう。
プロジェクト始動後、うまく進まないときは?
プロジェクトを進める中で、すべてがうまくいくことはありません。
うまく進まないことの方がきっと多いと思いますので、そんなときに確認するとうまくいく可能性のあるものも記載します。
業務を抱えすぎている人はいないかを確認する
まず、プロジェクト参加者の一人ひとりが仕事を抱え込みすぎていないかのチェックをしましょう。
目標達成のためにたくさんの業務が発生すると思いますが、プロジェクトで発生する業務は決してひとりでできる量ではありません。
ひとりでできる量の仕事であればプロジェクトにはなっていないですからね。
そのため、プロジェクト参加者に仕事を割り振るのですが、中には適性や積極性等で抱え込みすぎてしまう人がいるかもしれません。
捌き切れないその人が悪いのではなく、与えすぎているこちらが悪いと反省して、再度業務の振り分けを実施しましょう。
それぞれにとって障害となっているものは何かを確認する
やり方が決まっている仕事はきっとプロジェクトにはなりません。
やり方が決まっておらず、どうにかしたいことがプロジェクトになります。
そのため、すべての業務がスムーズには進まないと覚悟しておくべきです。
上司の承認のスピードが遅いとか、今の仕入先だとどうしても時間がかかるなどの障壁をいかに突破するかがプロジェクトの醍醐味ともいえる部分です。
それぞれの業務で障害となっていることを一つひとつクリアにできるように常に確認しましょう。
コミュニケーションは取れているか
プロジェクト参加者どうしで高い頻度でコミュニケーションを取れているのかも確認しましょう。
うまく進まないときも、プロジェクト内で相談ができれば解決できたり代替案が思いついたりします。
逆にコミュニケーションが取れていない場合は1人で行き詰まってしまいます。
進捗確認の意味も込めて週に1回くらいは時間を設けるようにするか、常にコミュニケーションが取れるチャットツールなどを活用して環境を整えましょう。
プロジェクトリーダーの心構え
最後に、私が思うプロジェクトリーダーとして持っておくべき心構えを3つ紹介します。
全部自分でやらない
もっとも重要な心構えです。
どちらかというと、「全部自分でやらない」というより「全部自分でやれない」のほうが正しいですけどね。
1人で全てやれるならプロジェクトにする必要がありません。
プロジェクトは自分ひとりではなく、複数人で進めるのが前提です。
自分ひとりではできないことがプロジェクトになって進んでいく、ということです。
そのために人員を検討する際にそれぞれの分野に明るい人を呼ぶのです。
もし当初想定していなかった人員が必要になりそうなら、遠慮なく巻き込みましょう。
ほかの人を巻き込むこともリーダーには必要です。
コストパフォーマンスを最大化する
プロジェクトを進めていくためには数ある手段を選んで実行していきます。
そのための判断の軸として、コストパフォーマンスを最大にするという考えを持っておくことが必要です。
プロジェクトの目的を達成したとしても、結果として大幅に赤字になってしまった場合は後悔しかないですからね。
コストパフォーマンスを比較するために必要なことは、常に複数の手段を検討することです。
「この方法が絶対にいい!」と決めつけるのではなく、「ほかに手立てはないか?」と検討する癖付けをしましょう。
複数人で同じボールを持たない
最後に、ひとつの業務について複数人でボールを持つことがないようにしましょう。
複数人で同じ仕事をしてしまうと、遠慮やお見合いが生まれてしまいスピーディーに進捗しないからです。
さらに、それぞれが相手に依頼したつもりでも相手にはそう伝わっていないなどの認識のズレも発生します。
「この分野は◯◯!」というように責任を持つ担当者をきちんと決定することがオススメです。
まとめ
初めてプロジェクトリーダーになる人向けに、プロジェクト始動前に決めるべき項目や心構え等をまとめました。
私も初めはまったくうまくいかず、試行錯誤しながらたどり着いたのがこんな感じでした。
プロジェクトリーダーに選ばれた人に少しでもお役に立てれば幸いです。