あの上司はいつもこちらの意見を聞いてくれない! と思っていませんか?
仕事をしていく中で、どうしても避けて通れないのが「自分のアイデアを上司が承認してくれること」です。
本記事では、上司に自分の意見やアイデアを通すためのコツを5つ、そして却下されやすい3つのケースをご紹介します。
ご自身の上司を唸らせる提案をすることの手助けとなれば幸いです。
目次
上司に意見を通せるようになる5つのコツ
自分の意見を上司に伝えたときに、承認がもらいやすくなるためのコツは以下の5つです。
- 上司にとってメリットがあることを伝える
- 事業戦略上どちらが正しいかはっきりさせる
- 上司のさらに上司に根回しする
- メリットとデメリットを数値化して比較する
- 承諾するために不安なことを教えてもらう

1つずつご紹介していきましょう。
上司にとってメリットがあることを伝える
1つ目の有効な作戦としては、自分の意見がいかに上司にとってメリットがあるかを説明することです。

いきなり社内政治的な話でびっくりした人もいるかもしれません。
人は、自分にとって利益のある提案は受け入れようとします。自分もその利益を享受したいからです。
たとえば、上司が部署としての目標達成にこだわっているなら、

この提案が目標達成に与える影響は従来の2倍であり、ご満足いただけると思います
と伝えます。
上司が上からの評価を気にしているなら、

部署の成果も上がるので●●さんが喜ぶ姿も目に浮かびます
と伝えます。
こんな風に、上司にとっていかにこちらの提案が魅力的なのかを説明することで、案外上司は動きます。
残念な上司の一例として、「自分の保身が大切な上司」があります。できるだけ出会いたくはないですが、何人かそういう人がいるのも事実です。
そもそも自分にとっての損得勘定で戦略を決定し、判断を行う時点で間違っていると個人的には思いますが、そんな上司にはもってこいの手法です。

もしそんな上司と当たったら、手玉に取るようにうまく使うか距離を置くかの2択で対応しましょう。
事業戦略上どちらが正しいかはっきりさせる
2つ目の方法は、会社や事業本部の戦略上、いかにこちらの提案がそれに沿っているかを説明することです。
上司といえど会社員ですから、会社の方針に逆らうわけにはいかないというポイントをつくためです。
たとえば会社が「お客さま第一主義」を掲げていたとします。その場合には、現在のやり方よりこちらの提案を採用する方がお客さま第一であるという根拠を提示して提案します。

現在の●●ではお客さまに不便があります。
ですが、▲▲を採用することで、お客さまの要望のうち50%を解消できます。
どちらを選択すべきかは明白です。
会社などが掲げる目的(ビジョン)や事業戦略と照らし合わせ、効果がどれくらいあるのか明確に伝えることができれば、上司は「Yes」と言わないわけにはいきません。
仮に上司の権限で即答できなくとも、前向きに上司の上司に掛け合ってくれます。
上司のさらに上司に根回しする
3つ目の方法は、上司のさらに上司に事前に説明と了承、加えて名前を出すことの承認を得た上で、上司に説明することです。

長いものに巻かれてしまいなさい作戦です。
上司にも上司がいます。上からの指令を覆すにはなかなかパワーがいるため、反論する気力をなくさせるためです。
また、自分の上司が承認しているなら「自分の最終承認ではないから責任を取る必要がないかも」なんて思って軽く返事してしまうことも狙えます。
具体的な言い回しとしては以下のような伝え方がオススメです。

先日たまたま●●さんとお話しする機会があって、雑談の中からこの提案について意見をいただいたのですが、非常にいいから進めてくれとおっしゃっていました。
進めていこうかと思っているのですが、念のためご確認いただけますか?
こんな言い回しだと、感覚的に95%くらいで意見が通ります。
メリットとデメリットを数値化して比較する
4つ目の方法は、こちらの意見のメリットとデメリットを洗い出し、数値で比較してメリットの方が大きいことを伝えるやり方です。
比較ができる数値を見せることで、上司自身が判断をしやすくするためです。
お金を銀行に預けることで金利は年0.001%、同じお金を株式に変えることで配当利回りが年5%発生し事務手数料が1%だと説明されると、どちらを選びたいと思いますか?
手続きの手間とかは置いといて、単純な金利の計算だけでいうと株式に変えることを選んだ方がいいのは数字上明白です。
このように、こちらの意見のメリットとデメリットの差を数値化して、現在よりもよくなることを示すことができれば、上司が意見を受け入れない理由はありません。
比較するための数値は、基本的にはお金にするのがオススメです。作業時間を比較することもできますが、作業時間を時給に置き換えることで、よりメリットデメリットがわかりやすくなります。
承諾するために不安なことを教えてもらう
最後の方法は、ストレートに

この提案を実行するにあたり不安なことはなんですか?
と聞くことです。
こちらから意見を伝えたときに、上司に
う〜ん……。

と煮え切らない反応を示された経験はありませんか? あれは、意見を受け入れて実行するために必要なことはなんだろう? といろいろ考えているサインです。
上司は部下の提案を受けて意思決定をする上で、確認や調整、説得の仕方を考えるなど複数の業務が必要になります。それを一緒になって自分も考えます! という姿勢を見せることで、上司は前向きになってくれます。
また、「意見」ではなく「相談」というテイにすることで、対立構造ではなくともに課題に立ち向かう構図にできるため、上司の心理的ハードルを下げることも可能です。

こんな風に変えていきたいんですが、推し進める上で何かマズそうなことはありますか?
とストレートに相談を持ちかけるようにしましょう。
多くの上司は、部下から提案をもらったときにさまざまなことを考えます。
- この提案を受け入れることによる影響は?
- コストは?
- 障壁は?
- だれの調整が必要?
- 提案以外の代替手段は?
- そもそも提案は課題としていることを解決できるか?
これらのことを考えて調整するのが上司の仕事ですが、こちらが事前に考えてその素案を提示できるだけで、上司の意思決定スピードを上げることができます。

筆者もこれらを意識することで意見はサクサク通るようになりました。オススメ。
却下されやすい根拠の例
上司に自分の意見を通しやすくなるやり方があれば、もちろん却下されやすいケースもあります。却下されやすい提案例は以下の3つです。
- 「自分が楽をしたい」などの根拠の中心が自分
- 数値で表現されていない
- (どれくらいの割合かはわからないが)お客さまが言ってた のようにボリューム感を考慮していない
上記の3つのケースで共通しているのは、「提案がどれくらいのインパクトがあるのか不明確」であるということです。
提案を受け入れることで、だれの課題をどれくらい解消するのか、そしてその改善はそもそも必要なのかが不明なため、ジャッジする材料が不足しているためです。

「なぜあなたがこちらの意見を通す必要があるのか」を意見や提案の中に入れ込むことで、上司に意見を却下されるのを回避しましょう。
さいごに
ぶっちゃけた話、上司に自分の意見が通らずとも致命的な不都合はありません。ですが、どうせ今の組織でそれなりの時間を過ごすなら、自分の意見を通したくもなります。
そのための手法として5つのやり方をご紹介してきました。本記事が自分の意見を上司に通したいと思っている1人でも多くの人のお役に立てればうれしいです。