営業の方法は、新規開拓か反響営業、紹介依頼の3つです。
すでに顧客がいる状態なら、紹介依頼が一番手っ取り早い方法です。
100人顧客がいれば、1人ずつ紹介してもらうだけで100件の開拓になりますからね。
しかし、「だれか紹介してください」と単純な紹介依頼をするだけでは、なかなか成果につながりません。
そこで、今回は10年間営業マンや営業マネージャーなど現場で営業をしていた筆者が、「劇的に成果が出せるようになる紹介依頼の3つのポイント」をご紹介します。
毎年配属される新入社員にも教えて成果を出している内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
紹介依頼の3つのポイント
成果を出すためには、顧客に単純に「だれかいい人いませんか?」と紹介依頼をするのではなく、以下3つのポイントを意識して紹介依頼をしてください。
- 具体的に対象者の要件を指定する
- 自分と会うことで、紹介先にメリットがあることを説明する
- 「次に会ったときに聞いてみる」の「次に会ったとき」を信用しない
要するに、
あなたの●●という知り合いの人に、
強烈にメリットがある情報提供ができるので、
今すぐ打診してください。
というような構成を意識すると、成功確率が上がります。
具体的に要件を指定する
顧客に紹介依頼をするときは、どんな人を紹介してほしいのかを詳細に伝えるようにしましょう。
顧客に紹介してもらうときに、紹介できそうな1人に顧客がたどり着くスピードを上げるためです。
例として、友だちに異性を紹介してほしいと依頼されたとしましょう。
だれかいない?
と聞かれるのと、
身長は160cmくらいで、黒髪、笑顔が素敵な人っていないかな?
と聞かれるのとでは、「あの人ならどうかな?」と思いつくのが早くなるのはイメージができると思います。
条件に当てはまる人がいなかったら「いない」ということが早々に把握できるだけです。
そのため、どんな人を紹介してほしいのかを自分の中で条件設定しておき、それを顧客にそのまま伝えましょう。そのほうが格段に紹介依頼の精度とスピードが上がります。
顧客は紹介を依頼された際、頭の中で自分の知り合いリストを上から順番に思案していきます。仮に100人の知り合いがいる顧客だとしたら、100人のリストを1件ずつ上から見ていって、「この人どう?」と1人ずつ提案してくれます。
顧客がせっかく1人ずつ提案しても、こちらに何回も「あ、その人だとこの条件が違いますね!」と否定ばかりされるのでは、3人くらい上げた段階で疲れます。その結果、紹介依頼は失敗します。
紹介してほしい人の制限があるとわがままに見えるかもしれませんが、紹介を依頼された側は制限があるからこそ対象者を思いつくのです。
具体的な要件を指定して紹介依頼をするだけで、
顧客の中で「だれかいないかな?」という「いるかいないか問題」から
「あの人は話を聞いてくれそうかな?」という「いけるかなどうかな問題」にすり替わり、
紹介依頼が成功する確率が上がります。
紹介先にメリットがあることを説明する
顧客に紹介依頼をする際は、自分が顧客の紹介先にとってどんな役に立てるのかを明快に説明できる方が、紹介の成功確率が上がります。
こちらが紹介依頼をすることで顧客の中に発生する認知的不協和を潰し、顧客の背中を押すためです。
具体例としては、顧客に情報提供をした後に以下のような言い回しをするのがオススメです。
- 今回の情報は、●●さまだけではなく●●さまのお知り合いの方にもきちんとお伝えしてお役に立ちたいんです!
- これは●●さまはもちろん、●●さまのお知り合いの方にも同じことが言えます。一緒にお知り合いの方を救いましょう!
自分と顧客の紹介先が出会うことが、いかに紹介先にとってメリットがあることなのかを顧客に伝えましょう。
認知的不協和について、ウィキペディアから引用します。
認知的不協和(にんちてきふきょうわ、英: cognitive dissonance)とは、人が自身の認知とは別の矛盾する認知を抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。人はこれを解消するために、矛盾する認知の定義を変更したり、過小評価したり、自身の態度や行動を変更すると考えられている。
出典:Wikipedia
要するに、2つの相反する感情が生まれたときに、人はなんとかしてその状態を脱したくなるよ、ってことです。
こちらと関係性ができている顧客にとって、紹介依頼は「応えてあげたい依頼」になります。
ですが、それと同時に顧客にとってだれかを営業マンに紹介することは、ともすると「知り合いを営業マンに売る」という少し後ろめたい行為にもなりえます。
ここで顧客の中に認知的不協和が発生します。
そのまま何も顧客にアプローチしなければ、顧客自らその状態から脱するためには「紹介しない」ことを選択する方が簡単なので、選ばれてしまいがちです。
それを、顧客が紹介することの大義名分を顧客に与えることで、紹介は後ろめたい行為ではないという認知で上書きし、紹介をしてもらうのです。
「次に会ったとき」を信用しない
顧客に紹介依頼をしたときに、「次に会ったときにでも聞いてみる」という一見こちらの紹介依頼に応えてくれたような回答は、一切信用しないようにしましょう。
1日以上空いてしまった場合は、74%以上の確率で忘れ去られてしまうため、そもそも紹介がされる可能性が格段に低くなってしまうからです。
顧客のみならず、人が次に会ったときに紹介依頼を覚えている確率は、1日後で約26%です(エビングハウスの忘却曲線より)。
ほぼ忘れてます。
そのため、本当に紹介をしてほしいなら、一番記憶が新しく、かつ熱量も高い今を逃してほかに好機などありません。
次に会ったときに聞いてみるね!
と言われた際は、
ありがとうございます! 大切な情報は伝わる速さも大切なので、今連絡してみてください!
と即答しましょう。
気持ちいいくらいに紹介依頼ができる心構え3か条
紹介依頼は営業手法の中では新規開拓や反響営業よりも効率的とはいえ、百発百中ではありません。もちろん紹介を断られるときもあります。
紹介依頼がうまくいかなかったとしても、切り替えて次に進むためには、紹介依頼をすることに対してネガティブにならないことが肝要です。
具体的には、以下の3点を意識してみてください。
「紹介してください!」とお願いはしない
相手にお願いをすることは、紹介依頼がうまくいってもうまくいかなくてもメンタルをすり減らします。
お願いをするのではなく、紹介先のためになると思って情報提供の提案をしているのであって、自分の商談相手を見繕ってほしいわけではないことを、肝に銘じておきましょう。
お願いしないと売れないような提案の仕方や情報は即刻見直しちゃいましょう。
厚かましいと思われるのが嫌なら、紹介先のメリットを熟考する
紹介依頼をすることが、顧客から厚かましいと思われそうで嫌だという人は、こちらの話を紹介先が聞くことのメリットを今一度整理しましょう。
契約がほしいという下心があるから厚かましいと思われるかもと杞憂を抱いてしまいます。紹介先にも伝えることが至上命題のように大義名分があれば何も恐れる必要はありません。
もちろん最終的に契約がほしいのですが、契約はゴールではなくスタートです。
顧客の紹介先を含め、関わる人全員の役に立ちたいと考え、契約を通過点として据えることで、厚かましいと思われそうだという杞憂を完全になくすことができます。
厚かましいかもと思われるような情報提供しかできないことを見直しましょう。
紹介後成果になってもならなくても紹介もとにお礼
紹介依頼をして、実際に紹介をしてもらえた後は、紹介先が契約になってもならなくても紹介元である顧客にお礼と結果の報告をしましょう。
紹介先への対応が気になっているのは紹介元である顧客だからです。
紹介してもらうことに大義名分があることを事前に説明しているので、紹介してもらった後に喜んでもらえたかどうかを報告する必要があります。
最後までその行動を一貫しなければ相手は違和感に気づきますので、ミスると次から紹介してもらえなくなります。ご注意ください。
さいごに
紹介依頼は、コツさえ掴めばだれでも成果を上げることができます。
本記事の内容が、営業マンの役に立てたら幸いです。