業務改善を行いたいけど、何から手をつけたらいいかわからない……。
このように思ってしまう原因は、業務改善と一言で言えど、「何を」「どのように」改善したらいいか、その引き出しを自分の中に持っていないからです。
もちろん、筆者も最初から取り組めたわけではなく、きっかけは些細なものでした。
本記事では、「業務改善を行いたいけど、何から手をつけたらいいかわからない」と思っている人向けに、筆者が業務改善のノウハウがない状態で取り組んだ事例から、ほかの環境でも活用できるヒントをご紹介していきます。
ぜひご自身の環境と照らし合わせをしながらご覧ください。
目次
業務改善の3つの事例
筆者が「業務改善を行ったことがない状態」で取り組んで成功した事例を3つご紹介していきます。
定期的なリスト更新・入力作業
1つ目は定期的にリストを更新する作業です。
毎日同じ時間に社内システムからリストをダウンロードし、必要な人に提供、またはリストの内容に応じた入力を行う。
毎朝8時30分に人知れず行わないといけない作業が面倒だと思ったこと。
8時30分から9時までの間に、ネット環境にも左右され間に合うかどうかヒヤヒヤしながら30分かけて対応していた。
RPAツールを用いて作業の自動化を行った。
8時30分にボタンを押してRPAを起動するだけ。作業時間2秒でコーヒーを飲める状態。
筆者が所属している会社は、毎日同じ時間に社内システムからリストをダウンロードして、そのリストを必要な人に連携したり、リストの内容をもとに入力や状況把握をしたりなど、「リストをダウンロードしてから●●する」という作業が非常に多くありました。
それを筆者が対応していたのですが、インフラ系業務は感謝されづらいので徐々に空虚な気持ちに……。
それを、「Ui Path」というRPAツール(無料版)を用いて「実行ボタンを押したらあとは勝手にPCが動いてくれる」状態にしてみました。Ui Pathを使用した定型業務の自動化はほかにもいろいろと可能なので、以下記事にまとめてみました。
今では毎日の作業をPCが勝手に動いてくれるので、快適な朝を迎えられています。
活動内容の報告
2つ目は営業部門でマネージャーをしていた頃に行っていた、毎日の部門の活動状況報告です。
毎日各営業マンの数値報告を集計して、部門としての活動状況を本部に報告する。
- 営業マンが数値報告を行ったあとに手元のExcelに入力するのが二度手間だと思ったこと。
- 数値が変わるわけではないので、だれがやっても同じだなと思ったこと。
- 営業マンが数値報告をメール等で行う。
- そのメールを見て手元のExcelに打ち直して集計する。
- 集計したデータをもとに部門報告用の文章を作ってメール等で本部に報告する。
- 営業マンの数値報告を廃止し、Googleスプレッドシートに直接入力させる。
- 必要な数値が自動集計されるように別のシートにあらかじめ数式を組んでおく。
- 決まった時間に決まった相手に集計した内容が報告されるようプログラムを組んでおく。
作業時間0分。お風呂に入ったり料理したりできる。
詳細な改善作業の内容はスプレッドシートの集計自動化を詳細に記載した以下の記事で解説していますので、ご興味があればご覧ください。
手元のExcelで集計って……そんなアナログなことしてたの? と思われる方もいらっしゃると思いますが、デジタル化が進んでいない企業なんてどこもこんなもんだと思っています。
「前の上司がしていたことの引き継ぎを受けたのでそのままやっています」という思考停止状態が筆者も長く続きました。
引き継ぎを受けた当初は「改善する」という思考がなかったのでそのままやっていましたが、慣れてくると「なんとかできないかな」と思い始め、改善に着手できるようになります。
お客さまが記入する書類のウェブフォーム化
3つ目の改善例は、お客さまが記載する必要がある書類のウェブフォーム化です。
筆者が所属しているストック型(会員制)ビジネスの会社のサービス解約のためには、「解約用紙」の記入と返送が必要だった。
- 書類が届かない、書類が遅いなどのお客さまからの苦情があったこと。
- ボールペン等で記入するため、こちらが意図しない記載をされたり、読み取れなかったりして、内容確認のためにお客さまへの連絡が必要なケースが多かったこと。
- 解約の要望を受けてから用紙を発送する。
- お客さまに記載してもらい、返送してもらう。
- 届いた書類をもとに社内で処理する。
- 解約用紙ではなくウェブフォームを送信する。
- 意図しない記載ができないようフォームの入力方法を規制する。
- データをもとに処理をする。
お客さまの「書類が届かない」「書類が届くのが遅い」という苦情が激減し、書類の郵送コストも80%カット。内容確認の連絡も発生しなくなった。
きっかけはお客さまの苦情だったので、なんとか改善できないか考えて実行した結果、ついでにコストダウンもできた好事例でした。
ちなみに、ウェブフォームを作ることはそれほど大変ではありません。試しに作ってみようと思う場合は、無料かつ直感的に操作ができるGoogleフォームがオススメですよ。
ストック型ビジネスは、最近多いサブスクリプションがそれに当たりますが、月額●円を払い続けてくれるお客さまを増やし継続してもらうことで、利益を出すビジネスモデルです。
解約をさせないこと=利益増なので、解約のハードルを下げることに難色を示す社内の反対勢力はもちろんありましたが、実現してみれば内部部門のコストカットができたので、結果として喜ばれました。
業務改善の事例から読み解く5つのヒント
ご紹介した3つの事例から、ほかの環境でも業務改善を行えるような汎用的なヒントを5つにまとめてみます。
ぜひご自身の業務や環境で、上記5つに当てはまるものはないか考えてみてください。そうすると、「改善できそうなこと」が見えてきます。
改善できそうなことが見えてきたら、改善しようとしている内容を実現できそうか? と考えてみます。実現するために気軽に手を出せるツールは以下のようなものがあります。
改善できそうなことの内容に合わせて、必要なツールを試しに活用してみることをオススメします。
さいごに
業務改善の事例から、効率化のヒントをご紹介しました。
本記事で「業務改善を行いたいけど、何から手をつけたらいいかわからない」という人が、「業務改善を考えるきっかけ」と「改善するための手段」について少しでも気づきがあったのなら幸いです。
ちなみに、年次が上がってきて社内業務に慣れてくると、「面倒だな」と思ってもそれが当たり前に感じてしまって改善のアイデアが出づらくなります。
年次の浅い人がどう思っているか聞いてみると、より業務改善のスピードが上がっていくかもしれません。