自分の部下が期限を守ってくれない! と悩む管理職の人は多いのではないでしょうか?
どこの会社にも期限に遅れてしまう人は必ずいます。
ただ、期限に遅れてしてしまうと大体上司から怒られるか、取引先からの信頼を失うかという悲しい結果の2択でしかないので、誰も期限に遅れたくて遅れてしまっているわけではありません。
部下が期限を守れない原因を把握して、正しい改善策を打ちましょう。
本記事では、私のこれまでのマネージャー経験の中で判明した部下が期限を守れなくなってしまう4つの原因と、その対策について記載します。
もし私が解説する4つの原因に当てはまらなさそうな場合は、記事の最後に対応方法を記載しているので、そこまですっ飛ばしてください!
目次
部下が期限を守らないときの4つの原因
自分の部下が仕事の期限を守らないとき、考えられる原因は以下の4つです。
上部の枠線内で当てはまったものをクリックすると、該当部分まで飛びますよ!
優先順位のつけ方や時間の作り方を知らない場合
たくさんの仕事が舞い込んできた際に、優先順位のつけ方や時間の作り方を知らない場合、仕事の期限を守れない事態が発生します。
どれだけ仕事を早くこなせても、たくさんの業務が積み重なったときに適切な優先順位をつけられなければ最優先の仕事の期限を逸してしまうからです。
たとえば、資料作成の指示を受けていたためその作成に取り掛かっている真っ只中に取引先への連絡を指示された場合をイメージしてください。
仮に優先順位のつけ方がズレていて、言われた順番に行うことが正しいと思っていると、取引先への連絡を後回しにしてしまって、指示を受けてから時間が経ってしまい連絡期限を超えてしまうことが考えられます。
考えただけで恐ろしいのですが、実際に起こることです。
このケースは、指示された順番に行うことが正しいと思っている部下の基準がズレていることから起きてしまいます。
解決策
部下が仕事の優先順位のつけ方を知らない場合は、以下の流れで部下を育成しましょう。
部下に「今やっている優先順位のつけ方」を示してもらう
まずは部下に現在のやり方を話してもらいましょう。
これをする理由は、頭ごなしに部下のやり方を否定している感じを出さないためです。
誰だっていきなり「お前のやり方は間違っている!」と言われれば凹みますよね。
私は「ずぅーーん」と落ち込みます。
「仕事が溜まってきたとき、きっとどれからやろうか考えると思うんだけど、いつもはどんな順番にしているの?」と柔らかく聞き、部下に優先順位を示してもらいましょう。
示してもらった優先順位のつけ方を修正しなければならないような例題を出す
部下の優先順位をヒアリングできたら、そのままだと発生する可能性がある不測の事態が起きたらどうするかを聞きます。
こちらが正しいと思う優先順位がよいと、部下自身に気づいてもらって修正してもらうためです。
たとえば、お客さまからの依頼よりも社内の資料提出が優先だと思っている部下がいるとします。
下記のようなやりとりで不測の事態を想定してもらいます。
では、君の中で最優先に対応しないといけないと思うことは何かな?
やっぱり提出日が決まっている資料作成だと思います!
そうだよね、ちなみにそれはどうしてそう思ったのかな?
提出日が決まっている仕事を後回しにして忘れてしまうと他の人に迷惑をかけてしまうと思うからです。
いい考え方だね。そうだとしたら、提出日のある仕事をやっている最中にお客さまから折り返し希望と連絡があったらどうする?
!!!
このような話し方だと、相手を否定せず、正しいやり方に気づいてもらえるため非常にオススメです。
ハッとした部下は、お客さま対応を優先しないと苦情になりかねないときっと気づいてくれたことでしょう。
例題を踏まえて整理して、「これからの優先順位のつけ方」を示してもらう
部下に正しい優先順位に気づいてもらえたら、それを復唱してもらって終了です。
気づきを言葉にして話す、つまりアウトプットをすることで知識が定着するからです。
「最後に、新しい優先順位をもう一度教えてもらえる?」と聞き、最終確認を行いましょう!
期限がある仕事それ自体のやり方を知らない場合
指示された仕事の仕方を知らない場合も期限を守れない要素の1つです。
仕事の仕方を知らないということは、1つの仕事に時間がかかるということであり、適切に優先順位をつけられたとしても、それでは間に合わない可能性があるからです。
たとえば資料作成でいえば、パワーポイントの活用方法をあまりわかっていないなどです。
資料作成を依頼された部下が、仮に「パワーポイントって何?」という状態なら、満足に資料を作成するどころか、どんな機能があるんだろうと調べるところから始めなければならないのはイメージしやすいと思います。
ちなみに、報告資料を作成するときにパワーポイントの使い方で気をつけたいことをリンク先でまとめています。
パワーポイントの使い方が分からなかったら、どうやったって資料作成に時間かかっちゃいますよね……。
こんな風に、仕事の進め方を知らない場合も部下が期限を逸してしまう原因となります。
解決策
仕事の仕方自体を知らない場合は、もちろんそのやり方を指導しましょう。
このときに、自分がやっているような効率のいいやり方を最初から細かく指導するのがポイントです。
この指導は部下が素早く正確に仕事ができるように行うものなので、スキルの出し惜しみは時間の無駄です。
お客さまにアポイントをとるための連絡をすることを伝える場合の例は以下です。
- ワイヤレスイヤホンをスマホに接続
- スケジュールを準備(PC・手帳どちらでも可)
- 見込み度の高いお客さまを10人ピックアップ
- 10人の名前、エリア、連絡先をリスト化
- 上から順番に連絡
- 電話しながらスケジュールを直接編集
こんな風に指導すると、部下も詳細にやり方が分かるので、つまづくということはありません。
初めに時間をとってみっちり指導してあげることが、最終的には時短に繋がるので、粘り強くいきましょう!
さらに注意点としては、相手のレベルに合わせた伝え方が必要になるということです。なぜなら、自分と部下では仕事の知識や経験値が違うため、自分がわかる表現が部下には伝わらない可能性があるからです。
たとえば、会議資料の印刷の方法を伝えるときに、パソコンを使ったことがある部下なら、
「会議資料はさっきチャットで送ったデータをA41枚で印刷してくれればOK」
で伝わるでしょう。
ですが、パソコンを使ったことのない部下(スマホしか触ったことのない人など)だった場合はどうでしょうか。
きっとどこからデータを開いて、印刷ボタンはどこにあって、用紙を選択するにはどうするのかということも伝えなければ、最初の指示だけで素早く印刷してくるのは至難の業です。
その場合に必要なことは、最初に部下が一発で分かるように細かく指導してあげることなのです。
このように、部下がどこまでできるのかを把握した上で伝えるようにしましょう。
そもそも忘れてしまっている場合
部下が仕事を期限に間に合わせられなかったときの言い訳としてよくあるのが「忘れてました。」です。
ぶっちゃけちょっとイラッときますよね。
「ちょっとだけ」ですよ!
そりゃ忘れていたらそもそもその仕事はできないので期限に遅れます。
部下が3つの仕事を抱えているとして、1つが部下にとってしっかり取り組みたいと思っている場合に、ほかの2つを忘れてしまって期限を過ぎてしまうケースなどが該当します。
ほかにも、もともとキャパがそれほど大きくない部下だと、複数の仕事を並行して行うときに悪気なく忘れてしまって、期限を守れないこともあります。
ただ、人はもともと忘れてしまう生き物なので、100%やるべきことを記憶している人はいません。
やることを忘れてしまっても期限に遅れずに仕事ができる人とそうでない人の差は、リマインダーが設定できているかどうかになります。
仕事を忘れてしまって期限を守れない部下は、適切なリマインダーを設定できていないことで、忘れっぱなしになってしまい、期限を守れていないのです。
解決策
部下が期限のある仕事を忘れてしまっている場合は、忘れても思い出せる仕組みを作りましょう。
人は必ず忘れるので、「忘れないようにする」ことを考えるよりは、「忘れた後も何かのきっかけで思い出せる」ことに力を注いだ方が効率的だからです。
具体的には、以下の方法が私のオススメです。
スケジュールの決定
1つ目の部下のスケジュール作成ですが、ここでは確実に決まっていなければならないということはありません。
突発的な事情でスケジュールが変更になることはたくさんあるからです。
そのため、「このタイミングでやろうと思います」と部下から言ってもらえれば大丈夫です。
この仕事、いつ時間をとってやれそう?
明日の15時ごろ取り組みます!
これは、自分の意思でその時間を作ってもらうことで当事者意識を持ってもらうことを狙っています。
中間報告の依頼
仕事に取り組むタイミングを決めたら、次は中間報告の依頼をします。
途中の進捗状況や課題を把握し、問題があれば修正を行うためです。
具体的には、2週間後に納期が来る仕事なら、1週間後にはどういう状況になっているかの報告をしてほしいと依頼するのです。
この中間報告も部下のスケジュールに入れ込んでもらいましょう。
中間報告はこちらから指示するものになってしまうので、それを行なってもらう理由もこのときに説明しましょう。
例としては、
中間報告をしてもらう理由は、途中でこちらも君の力になりたいと思うからだ。もしうまくいっていたら思いっきり褒めたいし、逆に君が困っていたら助けたいからね。
はいっ!!!
というように伝えるのがいいでしょう。
リマインダーの設定
部下が取り組むスケジュール作成と中間報告の依頼ができたら、それぞれに取り掛かる時間のリマインダー設定を行います。
このリマインダー設定がなければ、どれだけしっかりスケジュールを決めても、忘れる部下は忘れてしまうからです。
その時間が来たら思い出せるようにスマートフォンの力を借りるのです。テクノロジーの力を使えば、リマインダーや進捗確認を自動で行う仕組みを作ることも可能です。詳細は以下記事をご確認ください。
ここで重要なのが、そのリマインダーは部下だけが設定するのではなく、自分も設定するということです。
そうすることでできることは以下のとおりです。
すぐ連絡することを面倒と思われたかもしれませんが、あくまで管理職のゴールは納期までに部下に仕事を完遂してもらうことなので、その手間を惜しんではいけません。
この手間を惜しまず連絡を行うことで、部下からも「自分を見てくれている」というように思ってもらうこともできるので一石二鳥です。
注意点としては、すぐに連絡を入れる場合に言い方に気をつけることです。
間違った言い方をしてしまうと、逆に部下のやる気をなくしてしまう可能性があるからです。
あくまで可能性の話ですが、言い方一つでリスクを排除できるなら、絶対言い方に気をつけるべきだと私は思います。
この3つの作業を通じて、部下が忘れてしまうことを防ぐとともに、常にこのように確認することで、それが当たり前となり、部下の体にもしみ込んでいきます。
期限通りに行うことでその後どうなっていくかというイメージを持てていない場合
部下が「期限に遅れてしまっても別にいいや」と思っている場合も、期限を逸してしまいます。
理由は簡単で、社内での業務に関してはたとえ期限に遅れたとしても会社が傾くわけでもなければ周りに多大な迷惑をかけるわけでもないと考えているからです。
普段の仕事が優秀な人に多いイメージがありますね。
このタイプの部下は、取引先との大事な約束や、お客さま対応などの相手に迷惑をかけてしまうかもしれないという業務には真摯に取り組みますが、社内の細かい業務などをするときに期限遅れが発生してしまいます。
期限からの遅れが発生したときに「どうした、何かあったの?」と聞いたときに「正直そこまで大切なことかどうかわからなかったので軽んじてしまっていました」というような返答があった場合はこのタイプだと思ってもらって問題ありません。
今取り組んでいる仕事がこの後どうなるのか、何のために行っているのかなどを部下が理解していないと、設定した期限はまるで意味のないものとなってしまいます。
解決策
社内の細かい業務だけ期限に遅れてしまうのが目立ってしまう人には、以下のことを一つひとつ丁寧に説明するようにすると効果的です。
- 何のためにその仕事をするのか
- なぜその期限が設定されているのか
- 期限を守って仕事をした場合にどういう未来に繋がるのか
彼ら彼女らは「大切な仕事はできる」ため、期限のある仕事を「大切な仕事である」という認定をさせる必要があるからです。
もともと人に迷惑はかけたくないということで取引先やお客さまへの対応に漏れがないのですから、そもそものタスク管理はできるはずです。
たとえば会議資料の印刷も、会議に間に合わせるために期限が設定されているのではないことが大半です。
会議に臨むにあたり、印刷した資料が問題ないか等を確認をする時間が必要だから、事前の期限があると伝えることで、それに間に合わせることが必要だと認識してもらえます。
しっかりと経緯や未来を説明することで、「そういうことだったらこの細かい仕事もきちんとやらなきゃな」と思えるように説明しましょう。
期限を守れない部下を改善するステップ
上記の4つの原因のどれにも当てはまらず、かつ3回以上連続で期限を守れない部下を変えるためには、下記ステップで改善します。
- 期限を守れなかった原因をヒアリング
- 原因別の対策を打つ
期限を守れなかった原因をヒアリング
まずは部下が期限を守れていない原因は何なのかを探るために、電話か、もしくは面談で部下にヒアリングします。
改善策は原因を把握した上で実行しないと意味がないからです。
たとえば、字が下手な人に「きっとキレイに文字が書けるペン」を渡しても改善できるかどうかわかりませんよね。
原因がペンだとわかっているなら改善できますが、もし姿勢の悪さが原因だったとするとこれでは改善できません。
原因を把握することは、何かを改善する上で絶対に必要なことです。
そして、ヒアリングの手段は電話か面談がオススメです。メールやチャットなど文字だけでは、同じことを聞いていても少し怒られているような印象を与えてしまうからです。
電話、もしくは面談で「どうした? 忙しかった?」のようにフランクに部下に聞きましょう。
原因別の対策を打つ
原因がわかったら、次はそれを潰せる対策を考えましょう。
原因を潰せる対策の考え方は下記のステップが私のオススメです。
この流れだと、原因の深堀りによって真の原因を把握でき、具体策よりも全体像を先に考えるため手段がブレにくいからです。
面倒かもしれませんが、対策は原因を必ず潰せるものである必要があります。
原因を潰せない対策は時間とエネルギーがもったいないだけですからね。
野球のバッターが打てない原因が仮に「目をつぶってしまうこと」だとわかったのに、素振りを対策として続けても意味がありません。
ボールに目を慣らす方がよっぽど大切です。
こんな風に、原因の深掘りと、対策の検討をしっかり行った方がいいです。
さいごに
部下が仕事の期限を守れない場合、大半はこの4つのうちのどれかに分類されます。
ただ、もちろん部下は十人十色なのでここに当てはまらない人も存在するでしょう。
そんなときでも、こちらで記載した原因の深堀りとそれに対する改善策をしっかり考えられれば、大体の問題は解決できます。
部下をなんとか成長させたいという熱意が根底にあればほぼうまくいきますので、きちんと部下と向き合いましょう。