管理職としてのキャリアプランはどのようになっていくのでしょうか?
初めて管理職に昇進した頃は、前向きな気持ちになって「やってやるぞ!」と思っていた人が多いかもしれません。ですが、管理職をしていて何年か経つと次のことをふと思ってしまうタイミングが訪れます。
「あれ、自分って今後どうなっていくんだろう?」
本記事では、管理職を続けて何年か経過した人が「自分のために」今後どうしていくべきなのかを解説します。キャリアプランを考える上での参考にしてください。
目次
管理職の4つのキャリアプラン
今管理職に就いている人が、同じ会社に勤めていることで起こることは以下の4つのうちどれかです。
昇進
管理職に就いている人の役職がさらに上に上がることです。
「キャリアプラン」を考えたときに真っ先に思いつくのがこの昇進だと思います。
会社の中で認められたいという思いは多くの人が抱いているかもしれませんし、人の上に立つことで悪い気がする人は少ないでしょう。
昇進するために必要なことは以下の4つです。
昇進に必要なこと(1)現在の部署での実績
言わずもがな、実績がない人間の昇進はあり得ません。現在の部署の目標達成は、昇進にとって必要不可欠な要素です。
今よりさらに上の役職を任せても目標達成できそうかどうかという視点で、上層部が私たちの昇進の判断をするからです。
自分の同期が目標未達しまくっているのに昇進したら「は?」って思いますよね(・∇・)
昇進するということは、今の組織以上に大きい仕事が任される可能性が非常に高いです。そのため、「現在の部署で目標達成ができて余裕がありそうな人」でなければその上の役職に選ばれることはないのです。
自分が誰かを下から引っ張り上げるときに、「この人は目標達成できているから、上にあげても大丈夫そうだな」と思いませんか? まさに同じことが私たちにもいえるのです。
昇進を希望するなら、まずは目の前の目標に真摯に取り組むことが必要です。
昇進に必要なこと(2)上の役職の視座
上の役職になったときに「正しい判断や行動ができそうか」という視点で、私たちの上司は私たちの進退を検討します。
会社が私たちを昇進させる目的は「事業の成功」であり、そのために誤った判断をする人は上の役職には配置できないと考えるからです。
私たちが部下の昇進について上層部と話をする際に、「この人は普段からもう全体を見渡せて行動できているので、きっとこのポストについてもきちんとチームを見られるでしょう」と進言ができれば、高確率で意見が通るでしょう。
もちろん上司の好き嫌いとかそんな人材いないよとかは一旦置いといて、ですよ。
私たちも同じです。今の1つ上のポストが「部長」なのであれば、そうなったときを私たちの上司がイメージできるかどうかが昇進の1つのポイントになります。
普段から「自分が1つ上の立場だったらどう判断するか」と考えながら行動し、そしてそれをアピールしましょう。
昇進に必要なこと(3)自分の代わりになれる二番手の存在
自分の代わりになれる二番手の存在は、私たちの昇進のために必要不可欠です。
私たちが昇進するということは、今の私たちのポストが空くことであり、上司は「じゃあ次は誰がそこを担当するの?」と当然のごとく考えるからです。
私たちが昇進できる状態であり、二番手がいない場合、上司は私たちにきっとこう言います。そして、筆者が実際に言われたセリフでもあります。
君の能力は素晴らしいからもっと違うポストを任せたいんだが、そうなるとここをまとめるやつがいなくなるんだよね。
まぁそりゃそうですよね、って話です。ちなみに兼任は自分の業務量がひたすら増えるだけなのでオススメしません。
自分が追い越される可能性を考えて、二番手を育てることに消極的になる人もいますが、結果的にはそれが自分の昇進の道をなくすことになると知るべきです。
積極的に「この人!」と思った人を育てるようにしましょう。
昇進に必要なこと(4)上の役職の欠員
どうにもならない運要素がやってきました。。
私たちの上の人が今のポストから離れない限り、自分の昇進はありません。会社では基本的にポストの数が決まっているからです。出世競争なんて言葉が生まれるのはこういう理屈からです。
新部署ができなければ、新たに役職が増えることはないでしょう。そのため、上の人を「さらに上に押し上げる」のか「今のポストからどかす」かのいずれかの対応が必要です。
人として、「さらに上に押し上げる」という選択肢を取るようにしましょう。「どかす」方向で動くと、いつか自分に返ってきます。
別分野へ異動
今の会社で仕事を続けていると、私たちが積み上げてきた経験とは全く異なる部署へ異動となることもあります。
その場合は、「希望」や「適性判断」、「左遷」のいずれかによって、部署異動が起きるでしょう。
望んだり適性判断の結果異動する場合は別にいいのですが、左遷によって一兵卒に変わることは、経験を積み重ねてきた私たちにとってあまり望ましいものではありません。
なんでまたイチからやらないといけないんだ! というプライドは仏様でない限り誰にだってあるでしょう。
ポジティブな理由で異動するためには、今の仕事の成果と希望を伝える根回しが必要です。
逆にネガティブな理由で異動させられないためには、今の仕事での圧倒的な成果が必要です。
いずれにしても今の仕事の成果が必要になるので、目の前の目標に対して真摯に取り組む必要があります。
現状維持
今の役職のまま動かないこともあるでしょう。
昇進、異動、降格のどれにも当てはまらない場合は現状維持するしかありません。もちろん今までの経験をそのまま活用することができるので、現状維持が一番ラクなのは間違いないです。
現状維持に必要なことは以下の4つです。
これらをキープできれば、現状維持し続けるでしょう。「可もなく不可もなく」という言葉が一番しっくりくるレベルで仕事をする必要があります。
降格
今は管理職で仕事をしていても、会社が望む働きができていなかった場合に降格する可能性はもちろんあります。
2つ上の「異動」の項目でも記載しましたが、正直自分のプライドが許しませんし、何より「降格になって少し恥ずかしい」と思う人は少なくないでしょう。
これだけは絶対に避けなければなりませんが、会社の判断という私たちの預かり知らないところで起こる可能性も十分あります。
降格を防ぐためにできることは、今の仕事にしっかり取り組むということだけでしょう。
一緒にがんばりましょう。
現状維持によって私たちはどうなる?
現状維持することを選ぶのが一番ラクなのは間違いありませんが、現状維持を選択すると私たちは以下の3つを満たした人になっていきます。
これはきっと私たちが嫌いな上司像そのものでしょう。こんな人たちがなんで自分より給料が多いんだと嘆いたことは1度や2度ではないと思います。
こんな人間になって現状維持を続けた先には、「同じ能力を持った自分より若い人に取って代わられる」ことが待っています。
会社の立場からすると、同じパフォーマンスができる人が今より若くて人件費が安くて済むのなら、コストパフォーマンスを考えて配置転換の判断をするからです。
新型コロナウイルスが猛威を奮っている中で、より「生産性」が重視される世の中になってきたこともあり、上述の会社の判断は加速することでしょう。
昇進を目指すことの難しさ
現状維持から脱却し、降格も防ぐためには昇進するしかありません。ただしいつまでも昇進し続けるのは難しいと言わざるを得ません。その理由は以下の2つです。
物理的に無理なことはどうしようもありません。同族経営の企業に勤めている場合に外部の人間である私たちが社長になれる確率は限りなく0%に近いんです。
どれだけ仕事を一生懸命やったとしても、管理職である私たちの昇進が止まるタイミングはいずれ必ずやってきます。昇進が止まれば、それはすなわち現状維持であり、いつか私たちの嫌いな上司像を私たち自身が体現してしまうことになります。
これだけは避けたい……。
「自分が幸せになる」ための4つの選択肢
じゃあどうする? ってことですが、仕事をそれなりに頑張る前提で今私たちができる選択は以下の4つです。
私たちができる選択(1)転職
まずは現在の会社から離れる、という転職です。現在の会社で昇進の可能性が限りなく薄いのであれば、戦うフィールドを変えることも検討するべきです。
実際、現状よりも良い条件を望んで転職を志す人は、以下のグラフで示すとおり2010年以降増え続けています。
ただし考えるべきは、現在管理職である私たちにとって今よりもいい条件とはどのようなことか? ということです。
仮に給料をベースとして考えた場合、現在の会社である程度積み上げたキャリアを元に払われている給料よりも多く支払われることが、今よりもいい条件ということになります。
全く経験したことのない会社・業種に新人として加入した人間にそこまで手厚く支払ってくれる会社は果たして何社あるでしょうか?
どちらかというとリスクが大きいなと感じてしまいます。
より良い条件で転職するためには、まずは自分がどれだけの市場価値を持っているのかを知ることが必要ですので、私はビズリーチという転職サイトをオススメします。
私も登録してみましたが、自分の情報を詳細に入力することで自分に適したスカウトが来るので、「今自分はどれくらいの市場価値があるのか」「どういう企業から求められているのか」を把握することができます。
私たちができる選択(2)起業
自分だけの環境で仕事をするのは、余計なしがらみを考える必要がなくなります。
うまくいけば圧倒的に成長できますし、「会社の評価に納得がいかない」というストレスもなくなります。
デメリットとしては、起業初期に収入がゼロになってしまうことです。
現時点で「7割くらい成功できそうだ」というアイデアがあり、それを実現させるイメージも湧いていれば、起業は有効な選択肢です。
私たちができる選択(3)副業
個人的に一番オススメなのは副業をすることです。
現在の管理職としての収入を失うこともなく、失敗してもリスクの少ないスモールスタートができるからです。
起業の場合、「失敗=生活できない」という構図が成り立ちますが、副業の場合はそうではありません。現職の収入が継続的に発生しているためです。
私もこの副業という選択をして、管理職としての仕事を最小限の時間と労力でできるよう工夫し、空いた時間で副業を行っています。
管理職の人が副業をするにあたり大切なことやアイデア、実際の進め方などは以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
私たちができる選択(4)投資
直接的な解決策にはなりませんが、投資もひとつの選択肢です。
投資によって金銭的な余裕が出れば、ストレスなく今の仕事に打ち込むことができますし、昇進以外の異動・現状維持・降格のどの未来が訪れたとしても生活が安定するからです。
デメリットをあげるなら、満足できるくらい(配当だけで暮らせるような)の資産になるまでに時間がかかることと、元本割れリスクが生じることです。
投資一択ではリスクがあるとはいえ、他の選択肢を選びながら並行して行うのはリスク分散の観点からも非常に効果的だと思うので、「ちょっとだけ始めてみる」ことをオススメします。
私が投資に積極的になったきっかけを与えてくれた本を1冊ご紹介すると、ロバート・キヨサキさんが書いた『金持ち父さん・貧乏父さん』です。具体的な進め方も書いてあるのですが、それよりも「このままでいることのリスク」を鮮明にイメージさせてくれた本ですので、「何かしたいけど何から始めたらいいか分からない」という人は一旦読んでみることをオススメします。
まとめ
入社したての頃や、初めて管理職になった頃は「もっと頑張ろう!」と思っていた人が多いと思いますが、時が経つにつれて現状維持への焦燥感を持ち始めることと思います。
今後の自分の未来としっかり向き合って、今何ができるのかを考えることが現状打破の近道です。
大丈夫、始めるのが遅かったと思ったとしても、これからの未来のために何かを始めるのには今日が最速のタイミングですから。