マネージャーをしていると、1度は「報告しない部下」に出会ったことがあるのではないでしょうか。
マネージャーになると、報告の重要性がわかってくるので、部下にはまめに報告を期待してしまいますが、なかなかうまくいかないケースが多いです。
そんな「報告しない部下」を改善するための方法や原因、また報告しない部下について考えるきっかけになることが多い「ミスを報告しない部下」への改善策を私の経験からまとめてみました。
悩んでいるマネージャーにとって、少しでも参考になれば幸いです。
目次
報告しない部下の原因と対処法
報告しない部下の原因別対処法は以下の図のとおりです。
詳細に解説していきますね!!
報告しない部下の原因(1)報告の仕方がわからない場合
部下が報告の仕方を知らないがために報告ができない場合は、単純ですが報告の仕方を教えてあげましょう。
誰しも、やり方がわからないことは満足にできないからです。
たとえば、野球をしたことがない人に「バットを使ってボールを打つんだ!」という指示を出したところで、正しいスイングはできないですよね。
正しいスイングの仕方を指導して初めてできるようになっていきます。
それと同じで、報告の仕方をきちんと指導しないと部下はそれができるようになることはないのです。
具体的な改善方法
報告を5W1Hに沿って実践できるように部下に指導しましょう。
「こういうときはこう報告する」というケースごとの指導よりも、原則を伝えた方が応用を効かせることができるからです。
具体的には、以下のように最初に報告の仕方を伝えましょう。
いつ:1日2回(13時、17時)
何を:取引先の訪問結果
誰が:部下自身
どこで:取引先の訪問後
なぜ:結果の確認と改善策の提示を行うため
どうやって:以下フォーマットにて(媒体はメール)
- 訪問先
- 結果
- 取引先の反応
- 次回アクション
- うまくいったこと
- 課題
- 課題の改善策
もちろん仕事によって報告内容は変えてください!
実際の報告内容は自分が所属する会社や部署によって違いますが、このようにある程度「どのように行うのか」を指定しておくことで、部下はスムーズに報告をすることができます。
もちろん定例報告以外にも、「とっさのときの報告」なんかもどういうときに報告が必要になるのか等指示しておく必要があるでしょう。
とっさのときの報告は、部下自身がパニックになっている可能性が高く、方法を伝えておかなければ「どうしよう……」と困ってしまうからです。
たとえばミスをしたときがその代表例です。
この場合は事前にルールを決めておき、それを共有しておくことが効果的です。本記事の下部に説明している部分がありますので、ご確認ください。
手間ではありますが、このように報告について事前に共有しておくことで、マネージャーはその後の「部下が報告してくれない」というストレスから開放されます。
報告しない部下の原因(2)部下が報告を遠慮している場合
部下が報告を遠慮しているそぶりがあった場合、報告を受ける側、つまり自分の態度を「報告をいつでも受け付けているような雰囲気」に変えましょう。
一部の部下は、マネージャーが忙しそうにしている場合
今上司に話しかけたらダメかも、忙しそうだしなぁ
と思い、報告をスピーディーにできないからです。
自分が部下だった頃を思い出すとわかるかもしれませんが、忙しそうにしている気難しい上司に報告するときは、結構タイミングを伺って「今だ!」みたいに走っていきませんでしたか?
私はこのタイプでしたよ。笑
しかもこんなときに限って
「なんでもっと早く言わないんだよ!」
と言われたりします。
部下に遠慮させることなく、いつでも報告を聞ける雰囲気を上司が出しておくことで、部下の報告のスピードを改善できます。
具体的な改善方法
「報告をいつでも受け付けている雰囲気」を出す方法は下記です。
要するに、気難しそうな雰囲気を出さないようにすることです。
これらを実践するだけで、部下はマネージャーに話しかけやすくなります。
特に、日常的に部下に声をかけてコミュニケーションをとっていると、部下からすればマネージャーに話しかけることに抵抗がなくなるためオススメです。
報告しない部下の原因(3)部下が報告をしたくない場合
部下が報告をしたくないと思っている場合は、マネージャー側の報告の受け方をポジティブなものに変えましょう。
報告をしてもいいんだ!
と部下に思わせるためです。
たとえば、部下のどんな報告の後でも「報告ありがとう」と伝えるようにしたり、苦情の報告の際には「早めに言ってくれて助かった!」と伝えたりするなど、ポジティブなリアクションがオススメです。
今日から部下の報告を聞く際はポジティブなリアクションに変えましょう。
具体的な改善方法
先ほど例として少し記載しましたが、報告の受け方をポジティブなものに変える方法は下記です。
まずは部下に伝える言葉からです。
- 基本的には報告を受けたときに「ありがとう」と伝える
- 苦情の報告を受けたときに「早めに言ってくれて助かった」と伝える
- 進捗の報告を受けたときに「まめな報告をしてくれて助かる」と伝える
次に、部下と接するときの自分の姿勢についてです。
- 肘をつかない
- 脚を組まない
- 腕組みをしない
- 部下の方に体を向けて報告を受ける
これらのことを実践すると、部下は報告に対して苦手意識を持たなくなり、円滑な報告をさせることが可能となります。
注意すべきポイント
注意すべきなのは、この方法を取り入れたからといって一朝一夕で部下に変化が現れないことを認識しておくことです。
一度「報告を嫌だ」と思ってしまった部下はすぐにはその考えを払拭できないからです。
にんじんが嫌いな子どもになんとか好きな味付けをして一度食べさせたとしても、すぐに次から好き嫌いが何もなかったかのようには食べないのと同じです。
私のたとえ話には定評があります。笑
苦手意識を克服できるようになる期間は部下によって違いますので、粘り強く継続するようにしましょう。
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原因究明の方法
報告しない部下の対処法はそれぞれあるのですが、そもそも原因がなんなのかを把握しないと改善策も打てません。
部下の原因を把握する方法は以下手段のいずれかを活用してください。
- ヒアリングシートを活用する
- ほかの人に協力を仰ぐ
ヒアリングシートは、部下が苦手な印象を持っているマネージャーに直接目を見て話すことなく意見を伝えられるので、原因究明にオススメです。
また、ヒアリングシートを使うことも難しそうであれば、ほかの人に協力を仰ぎ、「報告についてどう考えているか?」ということを自分の代わりに部下に聞いてもらう方法を試してみてください。
面談は望ましくない!?
報告しない部下に対して、原因を究明するために直接面談することはオススメしません。
理由は、報告の仕方を知らない場合を除き、マネージャーに対しよくない感情を持っている可能性が高く、1対1の面談では部下の本心を聞き出すことが難しいからです。
実際に報告をしたくないと思っている部下の場合、報告頻度の理由について聞いても、
あんたがどんな報告をしても怒るからだよ!
なんて頭の中で思いつつ、
特に理由はありません。
と回答します。
これ、まさに昔の私のことです。笑
そのため、面談以外の手法で原因を確認するのが個人的にオススメです。
ミスを報告しない部下について
報告しない部下をなんとかしたいと思うきっかけは、多くの場合「ミスが発生したときにすぐに報告しない」シチュエーションだと思います。
このときの改善方法は報告を受けるときに「怒らないこと」です。
部下がミスを報告したくない理由は、ミスに対して怒られるという恐怖があるからです。
部下からミスの報告を受けた際の具体的なリアクションは下記のようなものがオススメです。
- 「正直に言ってくれてありがとう!」
- 「すぐに言ってくれてありがとう!」
- 「報告のおかげでリカバリーを考えられるよ!」
基本的には部下のミスの報告に対して「怒る」のではなく「感謝する」ことをベースにすれば、部下のミスの報告をしないことを改善できます。
ほかにも、組織の約束やルールで「何かが起きてマズいと思ったらすぐ報告してほしい」ということを決めておくこともオススメです。
事前にルール化しておくことで、ミスをすぐ報告するのが当たり前という雰囲気を組織内に作ることができるからです。
たとえば下記のようなルールを1つ追加するとよいでしょう。
ぜひ組織のルールを修正するきっかけがあったら導入してみてください。
報告しない部下を作り出さないために
せっかくルール決めをしたりや自分の態度を変えたりしても、ふと気を抜いたときにまた報告しない部下を生み出さないためには、報告を受けた際のNGワードを知っておくことも大切です。
部下が報告をしたくなくなる理由は、過去にマネージャーに報告をした際にネガティブな反応を受けたことがあり、また同じことになるのだろうと思っているからです。
特に、以前に部下から報告を受けた際に下記のようなリアクションをしていると、部下は報告をしたくなくなってしまいます。
もし自分が言われたら少しでも萎縮してしまう言葉を想像して、NGワード集を作っておきましょう。
さいごに
報告しない部下には、そうなってしまう原因があります。
原因をしっかり把握して改善策を取れば、改善しない問題はほとんどありません。
少しの工夫で自動的に報告が上がってくる組織を作り、自分のやりたいことができるマネージャーを目指しましょう。