定型業務、つまりだれがやっても結果が変わらず、やり方が一定である業務。
定型業務を自動化するために会社や上司に直談判しても、
「そんな予算ウチにはないよ」
「自分で工夫しなさい」
と言われることが多いでしょう。
大丈夫です。お金をかけずとも、工夫をこらさずとも、定型業務をカンタンに自動化する方法があります。
今すぐ本記事に書いている方法を実践して、自分の手から離し、自由な時間を手に入れましょう。
目次
定型業務を自動化する方法
さっそくですが、日ごろ行なっている定型業務を自動化する方法は1つです。
それは、「ロボットを作って代わりに仕事をしてもらう」ことです。
あ、「ロボットを作る」と見て「ムリ!」と思った人、ちょっと待ってください! ロボットを作るといっても、プログラミングの知識を使うわけではありません!
特別な知識がなくても、さまざまな業務を自動化することができる無料ツールがあります。
筆者自身も、現在もプログラミングの知識なんてほとんどありませんが、この後ご紹介する無料ツールでさまざまな定型業務を自動化しています。
自動化したことによる時間の削減例
実際のところ、自動化する前は毎日30分〜1時間程度かかっていたワークフローや提出物の承認業務も、自動化することで筆者が使う時間は0分になりました。1年間を200営業日として計算したとしても合計で100時間かかるものを自動にできたのですから、相当な時間を生み出せたことになります。
自分が作ったロボットが、自分が一切手を触れなくても業務を完璧にこなしている姿を最初に見たときは感動しました。
ぜひ以下で説明する方法で、定型業務を自動化してみてください!
自動化するためにオススメな無料ツール
定型業務を自動化するために使える筆者のオススメ無料ツールはUiPath(ユーアイパス)です。
UiPathは初期設定不要、コードの打ち込みなし、ダークモードが使用可能と、無敵な無料ツールです。まずは、筆者が使用してみてのメリットとデメリットを整理してみます。
無料で操作がカンタン。これが筆者が定型業務を自動化するためのツールとしてもっともオススメである理由です。
多くの人が定型業務を自動化しようと思うシチュエーションは、「毎日のこの作業面倒くさいな」とふとしたときに思うケースがほとんどだと思います。プログラミングの知識がたくさんある状態で「この仕事を効率化しよう」と思って自動化を進めるケースはあまりありません。
そのため、「定型業務を自動化するために勉強する」ということよりも、「まずは目先の定型業務を自動化したい」という想いの方が強いのではないでしょうか?
だからこそ、始めやすくてカンタンに扱えるUiPathこそが最優秀だと筆者は考えています。
UiPathで自動化することに向いている定型業務
UiPathを活用することで、自動化できる定型業務の例をご紹介します。
リストを使って、上から順番に同じことを繰り返す業務
Excelその他リストを使用して、行ごとに同じ作業を繰り返し行う業務はUiPathの得意とするところです。
たとえば、Excelでリストになっている顧客リストを眺めながら以下作業が必要だとすると、UiPathはすべて自動で行ってくれます。
- 上から順番にメールを送っていく
- 上から順番に見積書を作成する
- 上から順番に検索する
上記のような「上から順番」な業務があれば、すべてUiPathに任せましょう。0分で業務が終了します。
ウェブページで同じ箇所をクリックする業務
毎日同じウェブページの同じ箇所をクリックする業務もカンタンに自動化できます。
以下のようなものが例となります。
- 毎日出退勤のボタンを押す
- 毎日ウェブページのアクセス数を見に行く
- 毎日社内システムの同じウェブページで同じ作業をする
- 毎日SNSで同じ検索ワードを使って投稿を引っ張ってくる
だいたいのことができます。
定期的に同じ資料を作成する業務
毎日、毎月同じ資料を作成する必要があるのなら、その時間をUiPathで代替することができます。
- 同じ形式の報告資料を作成し、数値やコメントだけ変える
- 日報を送る
- テンプレートの営業資料内に記載される提案先の企業名のみ変える
資料作成って一見自動化できなさそうな雰囲気はありますが、テンプレートを作って編集する場所をあらかじめ決めておきましょう。そうすることで内容を変えるという作業を自動化することが可能になります。
UiPathで自動化する方法
以下の流れでUiPathを活用して定型業務を自動化しましょう。
自動化したい定型業務を分解
実際にUiPathを使ってロボットを組み立てる前の事前準備として、自動化したい定型業務を工程ごとに分解しておきます。
事前に業務の分解をしておくことで、ロボットを組み立てる際に迷いやエラーが起きるのを防ぐためです。
資料作成の場合でも、いきなりパワーポイントを開いて作成し始めるのではなく、先にサマリー(要約)とかアウトライン(あらすじ)などを作成してから取り掛かった方が、一貫性のある資料を作成することができます。あれと同じようなことです。
たとえば社内システムのウェブサイトから、毎日同じリストをダウンロードするとします。その場合は、以下のように業務を分解します。
- インターネットへアクセス(Google Chrome、Safari、Firefox、Internet Exploler、Edgeなどを開く)
- 社内システムへアクセスする
- ログインIDを入力する
- パスワードを入力する
- ログインする
- リストダウンロードページへ遷移する
- ダウンロードボタンを押す
- 保存する
こんな感じです。もし定型業務がマニュアルになっているのであれば、それをそのまま代用してもOKです。
一つひとつの工程に分解しておくことで、この後ロボットに工程を覚えさせるのが非常にカンタンになります。
ロボットを組み立てる
次に、工程をもとに実際にUiPathでロボットを組み立てます。事前準備で分解した業務工程を一つずつUi Pathに入力します。
先ほどの例の、毎日同じリストをダウンロードする業務を実際にロボットに覚えさせてみましょう。
トップ画面から新しい空のタスクでロボットを新規作成します。
アプリケーション/ブラウザを使用を左側から真ん中へクリックしながら持ってきます(UiPathのロボットは、基本的に左側の「●●する」を右側に持ってくることの積み重ねで作成します)。
ブラウザーのURLにGoogle Chromeで新しいタブを開くための
chrome://newtab/
を入力しましょう。
そのあとは以下のように必要なものを左側から右側へ持っていきます。
- 社内システムへアクセスする→URLへ移動
- ログインIDを入力する→文字を入力
- パスワードを入力する→文字を入力
- ログインする→クリック
- リストダウンロードページへ遷移する→クリック
- ダウンロードボタンを押す→クリック
- 保存する→クリック
使用しているのは「URLへ移動」と「クリック」、「文字の入力」だけです。それぞれ、どのウェブサイトに行くのか、どこをクリックするのか、文字は何を入力するのかを設定すれば完了となります。
※実際にウェブサイトのURLを入力しているわけではないので、赤字でアラートが出ています。
テスト・実行
ロボットを組み立てたら、上部にある再生ボタンを押して実際の動作を確かめます。業務工程をきちんと分解できていれば、あまりつまずくことはありません。
自分が作成したロボットがちゃんと期待通りの動きをしているかをしっかりチェックしてください。
テストで想定通りの動きができていた場合は保存をし、今後は上部の再生ボタンをクリックするだけで作成したロボットが同じ動きをしてくれるようになります。
「実行」の下にある矢印をクリックして、「PiPで実行」を選択すれば、仮想デスクトップでUipathが作業してくれるようになりますよ!
これで、定型業務を自動化するための一連の流れは終了となります。
Ui Pathでよく使用するアクション
何かしらの業務を自動化するにあたり、筆者もよく活用するUi Pathのアクションと簡潔な解説をご紹介します。
メイン要素
ウェブサイトを開く……その名の通り。指定したURLを開いてくれます。
Excelを開く……その名の通り。指定したExcelファイルを開いてくれます。新規作成ももちろんOK。
Outlookを開く……その名の通り。Outlookも自動化できちゃいます。
動作要素
クリック……その名の通り。右も左もシングルクリックもダブルクリックも可能。
文字の入力……その名の通り。好きなテキストを設定して入力可能。クリップボードへコピーした何かを入力したいときも使用。
クリップボードへコピー……その名の通り。頻出。
キーボードショートカット……単発でも連続でもショートカットキーを入力可能。個人的には名前をつけて保存するための「Ctrl + Shift + S」とかは地味に活用。
数式を入力……Excelの指定されたセルに指定した数式を入力。自分で打ち込むスピードの10倍くらい早い。
オートフィル……下までコピーしたいときに。
待機……重いファイルが完全に開くのを待つなど、ちょくちょく使用。
条件要素
列を最後まで繰り返す……リストをもとに繰り返す定型業務の自動化に必須。
条件分岐……Excelでいうif。これが使えたらもはやなんでもできる。
Ui Path以外の定型業務を自動化できるツール例
もちろん定型業務を自動化できるのはUi Pathだけではありません。筆者が試してみたものをほかにもご紹介します。
UWSC
UWSCは、自分が操作するマウスやキーボードの操作を録画し、その録画通りに同じ動きをしてくれるソフトです。
ダウンロードはこちらからどうぞ。
金額……無料
メリット……無料、業務の分解やロボットを作るという工程が不要、録画するだけで再現可能
デメリット……ミスまで録画して再現してしまうため、ミスなく録画することが必要、動作時にPCを操作できない
録画開始ボタンを押してから、録画終了するまでのPC上の作業をそのまま再現してくれるので、特別なテクニックは一切必要なく使用できます。
ただし、「まったく同じ動作を再現する」ため、条件によって動作を変えたり、分量によって回数を増やしたりなど一段上の自動化には不向きです。
初めての自動化として、日によって作業量やクリックする場所が一切変わらないような作業をUWSCに任せてみるのはいいかもしれません。
筆者も最初はUWSCを使用していたのですが、条件分岐をしたくなったこともあり、今はUi Pathを使用することとなりました。
Coopel
Coopelはクラウド上で指定した動作を行ってくれるRPAのサービスです。
金額……1ユーザー5,000円/月
メリット……仮想デスクトップで作業をしているので、Coopelの作動中も手元で別作業ができる
デメリット……ウェブ系には強いが、PCに内蔵されているソフトは苦手で、自動化できる範囲が少し狭い
専門的な知識がなくてもカンタンに利用できることを目指したRPAと銘打っているだけあって、難しい名称を極力省いて表示させている印象があります。
また、クラウド上で完結できるため、ロボット稼働中に自分のPCが触れなくなることはありません。
弱点としては、そもそも有料であることと、手元のファイルの文字コードを変えるなどローカル(PCのデスクトップで行う操作など)な作業ができないことです。
Coopelのロボットの組み立て方はUi Pathと同じで、アクション一覧からロボットにしてほしいものを引っ張ってくる形をとります。
筆者もCoopelを活用していた時期もありましたが、勤務している社内のシステムと相性が悪かったため、自由に組み立てられるUi Pathに落ち着きました。
ご自身の環境と親和性があれば、Coopelは自分のPC操作を阻害しないため便利かもしれません。
Excelマクロ
いわずと知れたマイクロソフトのExcelに内蔵されている自動化ツールです。別名はVBA(Visual Basic for Applications)といいます。
詳細の内容の確認はこちらからどうぞ。
金額……Excelを購入すれば一緒に入っている(Excelのみで税込17,904円)
メリット……Windowsのパソコンならほとんどなんでもこなせるようになる
デメリット……Excel以外の作業を自動化しようとすると、極端に構築のハードルが上がる
Excelのマクロは、Excelの作業を圧倒的なスピードでこなしてくれます。そして、Excelの作業だけを自動化したい場合には録画機能がついているので、複雑なプログラミングの知識を一切使うことなく業務を自動化できます。
ただし、この録画機能は先述のUWSCと同様にミスも記録してしまうので、録画する際は慎重に作業することが必要です。また、リストの数が増えたことによる臨機応変な操作は録画では対応が難しく、コードを直接修正する必要があり、知識が必要となります。
どの自動化ツールも良さもあれば弱点もあります。自分がどんな定型業務を自動化したいのか、という目的を明確にして、ツール選びをしていただければと思います。
さいごに
定型業務を自動化すれば、いくらでも自分の時間を生み出すことが可能です。ただし、生み出した時間で自分が何をするかは、自動化することはできません。ぜひ自分の時間を有意義に使って、自分にしかできないことに時間とエネルギーを注いでいきましょう。
この世で唯一取り返しがつかないものは時間です。