一般的に、プレイヤーとして優秀な人がマネージャーになる傾向が日本にはあります。
ですが、優秀だったプレイヤーだった頃のように仕事をし続けているとマネージャーとしては失敗してしまうのも事実です。
プレイヤーとマネージャーの仕事内容はどのように違うのでしょうか?
本記事では、両者の違いをわかりやすく解説し、マネージャーになった際に気をつけるべきポイントも説明します。
目次
プレイヤーとマネージャーの違い
プレイヤーとマネージャーって、実際のところどんな違いがあるんですか?
プレイヤーとマネージャーの違いは、簡単にまとめると以下の3つです。
- 「自分が仕事をする」か「相手に仕事をさせるか」の違い
- 「自分の仕事」を管理するか「相手の仕事」を管理するかの違い
- 「そこにある仕事」をするか「新たな仕事」を作り出すかの違い
めちゃ簡単にすると、「だれが」「何を」「どんな」が違う、というわけです!
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仕事を実際にする人の違い
組織の目標を達成するために、実際に仕事をするのはプレイヤーの場合は自分自身です。
それに対して、マネージャーの場合は自ら仕事をして組織の目標を達成するのではありません。
自分の下に紐づいているプレイヤーたちを統率して、プレイヤーを動かすことで組織の目標を達成します。
自分に課せられた目標が、1人では到底達成できないからです。
プレイヤーの場合、個人に与えられた目標は1人で達成することができますが、マネージャーはそうはいきません。
10人の組織であれば、10人分の目標の責任を負います。
10人分の仕事を1人でこなせる人などそうはいませんし、仮にいたとしたらマネージャーではなくプレイヤーとして10人分の目標を持たせた方が会社もコスト削減ができます。
このように、プレイヤーとマネージャーは目標達成のための仕事をするのが自分かどうかという違いがあります。
実際私も、プレイヤーからマネージャーに変わったときに、仕事の主体が変わったことを痛感しました。
プレイヤー時代は毎月20件ほどの新規売上目標があったのですが、マネージャーになった際に組織の人数分、当時は7人だったので140件ほどの目標がやってきました。
私はプレイヤーとして優秀ではなかったため、即座に組織のみんなの力を借りることを考え、みんながどうやったら働きやすいかを考えるようになりました。
結果、初めてマネージャーになった年は一度も目標未達をしていません。
プレイヤーとして優秀じゃなかったことが、逆にラッキーだったというポジティブシンキングをしてます!
そういう意味では、早くこの違いに気づけたからうまくいったのだと思います。
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管理対象の違い
プレイヤーは自分の仕事の進捗を管理する必要があります。
それに対して、マネージャーは自分の組織のプレイヤーたちの仕事の進捗の管理が仕事です。
つまり、自分を管理するのか、相手を管理するのかという違いです。
前項でも記載した通り、マネージャーは自分1人の目標ではなく、組織としての大きな目標の責任を負います。
そして、組織としての目標を達成するには、プレイヤー一人ひとりがそれぞれ仕事を進捗させなければならず、その管理が必要だからです。
だれかがコケたときに、ほかの全員でカバーできる余力があるかどうかを事前に把握しておくだけで、その後の指示がスムーズですからね。
私がプレイヤーだった頃は、自分の見込み客の数、スケジュール、新規セミナーの設定数など自分のことだけ考えていればOKでしたが、マネージャーになってからはプレイヤー全員が今日どこで何をするのかをしっかり把握していました。
もちろん初めから把握できていたわけではありません。
マネージャーになりたての頃は、当時の上司から何回「なんで把握していないの?」と詰め寄られたか分からないくらい厳しく指導されました。
プレイヤーのことを把握していなくても組織の成果が出せるなら、そこにマネージャーは必要ないってことです。
自分のことだけではなく、複数の状況を把握して管理することがマネージャーになると必要です。
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仕事の増え方の違い
プレイヤーとマネージャーでは、仕事の増え方も違います。
自動的に仕事が降ってくるか、自分で生み出すのかという違いです。
プレイヤーのときは、基本的にマネージャーから仕事が降ってきます。
マネージャーが持つ組織目標を達成するために必要なことが、プレイヤーたちに振られるからです。
ですが、マネージャーの場合はほとんど仕事は降ってきません。
それとは別に、組織目標を達成するためにできることを自分で考える必要があります。
プレイヤーは目の前の仕事に集中しているので、だれもそういうことをやらないからです。
こんな風に、仕事の増え方もプレイヤーとマネージャーでは違ってきます。
この違いについては、私はマネージャーになったときには苦労しました。
プレイヤーだった頃に「考える」という作業をほとんどしてこなかったからです。
プレイヤー時代の私は特に考えることもなく、目の前の振られた仕事を粛々とこなしていました。
だから優秀ではなかったんでしょう。。笑
仕事は降ってくるものだという思いのままマネージャーになってしまい、側から見るとなぜそのポストにいるのか分からない「指示待ちマネージャー」になっていました。
私の場合、これは正直時間が解決してくれました。
ずっと同じことをしていても暇だったので、「何かしてみよう」という思いが芽生えて、マネージャーとしての仕事ができるようになっていきました。
具体的な改善策が記載できず申し訳ないですが、私のような指示待ちマネージャーにならないようにしてください。
優秀なプレイヤーがマネージャーになったときに陥る失敗
プレイヤー時代に優秀だった人が、マネージャーになった途端うまくいかなくなるのって、なんなんでしょうか?
あれは、プレイヤーのときの仕事と、マネージャーになってからやる仕事の違いに気づけるかどうかによって起こります。
次に、プレイヤー時代に優秀だった人が、マネージャーになった際に陥ってしまう失敗について記載します。
私の1年下で、プレイヤー時代の営業成績は常に私の2倍以上の目標達成率を誇っていた当時最強の女性社員がいました。
圧倒的な成果を出すことができ、周囲からも期待されて若くしてマネージャーに抜擢されたのですが、なかなか組織としてうまくいかず、結果1年で居場所を失うこととなりました。
なぜ圧倒的な成果を出せていた彼女が、マネージャーになった途端にうまくいかなくなってしまったのか。
当時の上司が話していた失敗3つを紹介します。
ちなみに私はプレイヤー時代の成績が全くよくなかったので当てはまりませんでした。笑
自分でやった方が早いと思ってしまうこと
1つ目のポイントは、どんな仕事も「自分でやってしまった方が早い」と思って、プレイヤーたちの仕事をどんどん奪っていたことでした。
プレイヤーの仕事を奪うことにより、プレイヤーの成長や経験がそこで止まってしまうからです。
たとえば、資料作成が不得手なプレイヤーがいたとして、完成するのを待っているくらいなら自分でやった方が早いと、その仕事を奪ってしまうことなどです。
これではいつまで経っても、そのプレイヤーは資料作成をうまくすることができません。
そしてそれは、プレイヤー時代に優秀だったからこそよく発生します。
プレイヤーとして優秀であるということは、「自分でやった方が早い」、つまり自分に自信のある仕事が多くある状態にほかならないからです。
私が間近で見た1年下の最強の女性社員も、営業成績が抜群だったため、プレイヤーが営業をできるように仕向けるのではなく、自分でひたすら活動をしてしまっていました。
その結果、組織目標はなんとか達成していましたが、その女性はプレイヤーたちから「自分が成果を出すことしか考えていない」と思われ、組織が回らなくなってしまったのです。
「自分でやった方が早い」と思う気持ちをグッとこらえて、プレイヤー自身がその仕事をできるようになるのを粘り強く待つことが、マネージャーには必要だということがよくわかりました。
こんなこともできないのかと相手を見下してしまうこと
2つ目の失敗は、自分ができて当たり前だと思っていることができないプレイヤーを見下してしまうことです。
優秀なプレイヤーは、歯磨きや挨拶のように、仕事においてやるべきことを特に障害もなくきちんとやれています。
お客さまとのアポの取り方や、スケジュールの設定方法、話を聞いてもらえる話法や契約時の説明など、抑えるべきことはすべて抑えています。
そのため、優秀ではないプレイヤーが自分にとって当たり前なことができないときに、腹が立ってしまうことがあるのです。
「なぜこんな当たり前のことができていないのか」と、プレイヤーに詰め寄ってしまうことにより、詰め寄られたプレイヤーはやる気を失ってしまいます。
これによって、組織としての推進力が失われ、弱い組織になってしまうのです。
当時私の1年下の女性マネージャーは、ことあるごとにプレイヤーに対して「こんな簡単なことがどうしてできないの!?」と詰め寄っているシーンは何度も見ました。
そして、陰でその女性マネージャーが嫌いだと言っているプレイヤーの姿もです。
組織の目標は1人では達成できないものなので、目標に向かってがんばっているプレイヤーたちにむしろ感謝の思いを抱くことが大切なのでしょう。
自分のやり方を押し付けてしまうこと
プレイヤーとして優秀だったマネージャーは、自分のやり方をほかのプレイヤーに押し付けて失敗してしまうことがあります。
マネージャーは自分のやり方がうまくいくことを知っているので、そのやり方をプレイヤーに強制しようとすることがあります。
しかし多くのプレイヤーは、「そのやり方はあなただからうまくいったんでしょ」と悲観的に受け取ることが多いです。
実際、当時の女性マネージャーの下についていた人たちにヒアリングしたところ、7割くらいの人がそのように回答していました。
結果として組織は関係性が非常に悪くなり、1年後には女性はマネージャーを降りることになりました。
自分のやり方をプレイヤーに共有することは非常に大切なことですが、それを強制するのはよくないということがよくわかります。
自分のやり方を共有して、相手に納得してもらった上でやってもらうのか、それとももっといい方法があるのかをお互いに話し合うことで、この失敗は防げたかもしれません。
いずれにせよ、プレイヤーとして優秀だったという自信が、悪い方向に発揮されてしまった例といえるでしょう。
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プレイヤーとマネージャーを両立するときのコツ
最近「プレイングマネージャー」って多いと思うんですけど、仕事が違うのに両立しないといけないときのコツって何かありますか?
それは、自分がすべきことと、できることのそれぞれを把握することです。
プレイヤーとマネージャーの仕事には、はっきりとした違いがあることがわかりました。
本来であれば、両者は兼務すべきではない仕事です。
それぞれがする仕事内容が全く違うからです。
しかし、現在両方の仕事に取り組まなければならない「プレイングマネージャー」が増えてきていることもまた事実です。
そこで、今まで解説してきた両者の違いを踏まえて、両立させる場合のコツについて記載します。
自分が偉いわけではないと自覚すること
プレイングマネージャーをしているからといって、ほかのプレイヤーたちより偉いと思うのはやめましょう。
先述した3つの優秀なプレイヤーの失敗に共通しているのは、自分の自信があらぬ方向へ向かってしまったことだからです。
プレイングマネージャーは決して偉いのではなく、マネージャーの役割も与えられたというだけに過ぎないと、謙虚な気持ちでいるようにしましょう。
ほかのプレイヤーたちは、プレイングマネージャーだから偉いとは一切思わないからです。
たとえば、小学校や中学校で「生徒会長」を務めていた人がいると思います。
彼ら彼女らは、一人の生徒であると同時に、生徒のまとめ役というまさにプレイングマネージャーです。
ただ、そんな生徒会長と廊下ですれ違ったときに「おはようございます!!!」なんて部活の先輩に挨拶するように声をかけますか?
かけないですよね。「よっ!」くらいしか挨拶しないでしょう。
このように、相手がプレイングマネージャーだからといって、周囲は特に何も気にしません。
それなのに、急に偉そうな態度をとった場合、それだけで「どうした?」と周囲から遠ざけられてしまうでしょう。
そのため、プレイングマネージャーをする場合は偉そうな態度をとるのではなく、むしろ謙虚に全員の支えとなれるよう立ち回ることで、首尾よく成果を得られるようになります。
1人で全てをこなそうと気負わないこと
プレイイングマネージャーになったら、決して1人ですべての仕事を背追い込まないようにしてください。
過労で倒れるからです。
私は倒れました。
組織の目標達成を目指しながら、個人としての目標達成も目指しているプレイングマネージャーは多忙です。
両方を達成するために仕事をしているので、単純に2人分の仕事をすることになってしまいます。
それでは自分が倒れてしまうので、こういうときはほかのプレイヤーたちに協力を仰ぎましょう。
1人で2人分の仕事をこなすのではなく、10人で1.1人分ずつの仕事をすれば、同じ量の仕事ができることになります。
こうやってほかの人の力を借りるために必要なのは、「謙虚さ」です。
先ほど同様、偉そうにしてしまうと協力を仰げなくなってしまうので、謙虚に相談しましょう。
具体的には、仕事の割り振りを「指示命令」で行うのではなく、「協力要請」をすることで行うのです。
「●●をやりなさい」ではなく、「●●をするのに力を貸してください」と伝えることで、ほかのプレイヤーは必ず協力してくれます。
あなたが謙虚に、でもいつも自分たちのためにがんばってくれていることを、みんな知っているからです。
さいごに
プレイヤーとマネージャーの仕事の違いや、両立するときのコツについて記載しました。
この記事を読むことによって、これからマネージャーになろうとしている人たちが、私や例に出てきた女性のように失敗するのではなく、最初からスムーズに組織を回せるようになることを祈っています。