新しい部署にマネージャーとして配属されたとき、新しい部下たちとどのように接していくべきでしょうか。
「最初だから仲良くなろう!」
この考え方は実は間違っています。筆者はもちろん、同様の手段を取った筆者の同期も思いっきり失敗したためです。
本記事では、新しい部署の部下との接し方における3つのポイントと、なぜ「最初だから仲良くなろう」が間違っているのかについて解説します。
目次
新しい部署の部下との接し方の3つのポイント
新しい部署に配属となった際の部下との接し方は、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
- まずは現状把握から始める
- 部署の目標や事業計画に基づいて判断を行う
- わからないことはわからないと聞く
ポイント1 まずは現状把握から
新しい部署にマネージャーとして配属されたら、まずは部下の行動をチェックして部署全体の現状把握に努めましょう。
部署の目標達成のために効果的なところ(変えなくていいところ)と、非効率なところ(変えた方がいいところ)を知るためです。
たとえば、部下の意思決定が数字ではなく「あれはなんとなくやめた方がいいな」などの定性的な情報に基づいて行われている場合、合理的な意思決定ではないので、数字をもとに判断できるよう修正すべきです。
逆に、個人の目標達成のために中間目標をそれぞれ策定して取り組むことがルール化されているなら、それを変える必要はないでしょう。
このように、新しい部署が目標に向かって進むためにメスを入れるべきところとそうでないところを見極めることが、新任マネージャーの最初の課題です。
目標を達成するためには、現状と目標とのギャップを埋める手段を考えることが必要です。現状把握は、その最初のステップになります。
ポイント2 部署の目標や事業計画に基づいて判断をする
新しい部署での活動に際し、何か判断や意思決定をする場合は、必ず部署の目標や事業計画に基づいて判断をしましょう。
これってとても当たり前のことなんですが、
古株の人に「私の方が正しい!」なんて言われると、結構判断が難しくなったり、相手を立てようとしたりしてしまうことが割とあるんです。
たとえば、会社の方針転換等により今までよりも複雑な処理をすることが必要になるケースをイメージしてください。
コンプライアンスに対応するために確認作業を増やす、みたいなイメージです。
ワークフローを面倒な方向に変更することであるため、かなりの確率でベテランの人から
そんな面倒な変更したくないね!
と言われます。
ここで、「そうですよね〜もう一回上と掛け合ってみます!」と負けてしまうのではなく、「気持ちはわかりますが会社がより良くなるためには必要な変更です。」とバッサリいくことが大切です。
自分より年次や年齢、経験が上の人が部下になったときっていろいろ難しいですよね。もし年上の部下の対応にお困りであれば、以下の記事をご覧ください!
マネージャーは部下の言うことを聞くために配属されるのではありません。組織の目標を達成するために配属されるのだと心得ましょう。
ポイント3 素直でいよう
新しい部署のマネージャーになったとき、わからないことは「わからない」と言える素直さを持って行動しましょう。
威厳を見せようとして知ったかぶりすると、後で痛い目にあいます。
- ●●ってなんですか?
- わからないので、調べて回答しますね。
- これってこういうことであっていますか?
こんな風に、わからないことを「わからない」と言えないと部署の長として正しい判断ができません。
繰り返しになりますが、マネージャーは組織が目標を達成するための判断ができる人間として存在します。部下よりも業務に優れていることを目的として存在するわけではありません。
わからないことはわかるまで部下に聞くようにしましょう。
ここを履き違えないようにしておけば、新しい部署のマネジメントも恐るるに足りません!
最初に仲良くなろうとすることがNGな理由
新しい部署のマネージャーになったときに、部下とまず仲良くなろうとすることがNGな理由は以下の3つです。
相手にとって不都合だけど大切なことを言えなくなる
部下と仲良くなることを前提としてマネジメントをしようとすると、部下にとって耳触りが悪い指摘をしづらくなってしまいます。
部下に指摘をすることで前提の「仲の良さ」を崩してしまい、気まずくなってその後の指示が出しづらくなるからです。
たとえば部下にとっては不都合な会社の方針変更を伝えることや、行動が間違っていることを伝えることを伝えると、仲が良いことを前提としているマネジメントでは、部下がマネージャーに文句を言いやすくなります。
そうなるとマネージャーは、普段部下と仲良くなろうとしている行動とは違った毅然とした態度を取るのは難しくなり、「そうだよな〜」と同情しがちです。
ドライにいかなければならない部分がそうできなくなるのはマネージャーとして望ましくありません。
組織に緊張感がなくなる
部下と仲良くなってから組織を運営しようとすると、組織の緊張感が失われます。
組織の緊張感が失われると、納期付近の追い込みの勢いが失われます。結果として、部署としていい成果を出せなくなります。
具体的には、何かエラーが起きたときの動きに以下のような違いが生まれます。
どう考えても後者の方がマネージャーとしてありがたいですよね。
マネージャーは部下と仲良くなるためにいるのではなく、組織の目標を達成するためにいます。仲良くなることは手段であって、目的に据えてはいけません。
表現が悪いかもしれませんが、緊張感が失われた組織は目標の達成に必要なことを指摘しあえず、傷の舐め合いしかできません。締めるところは締めていきましょう。
マネージャーのストレスが溜まる
部下との友好関係を前提にマネジメントすると、結果としてマネージャーがストレスをひたすら抱え込んでしまいます。
先述の通り、言わなければならないことが言いづらかったり、組織の成果が出しづらかったりするからです。
会社から指示があるのに、それを部下に伝えられないとなると、文字通り中間管理職となって途轍もないストレスを感じてしまいます。
マネージャーの心の健康が害されると、部下と一切話したくなくなる(筆者の体験談)ため、自分のストレスを溜めないためにも、マネジメントの前提に「仲良くなること」を据えるのは控えましょう。
仲の良さ自体が悪いことではなく、形成の仕方に気をつければOK
もちろん、上司と部下が仲が良いことが全て悪いわけではありません。マネジメントの前提に仲の良さを据えるのではなく、マネジメントした結果として信頼関係が生まれることによって上司と部下が仲が良いことが最善です。
仲の良さを前提にした組織は、部内の雰囲気は良いかもしれませんが、厳しい指摘ができなくなるため、こと成果に関してはあまり伸びません。
仲の良さが全くない組織は、個人の力が足し算されて組織の成果となります。
部下にとって耳触りが悪いことも含めて伝え、目標から逆算してマネジメントをしている上で信頼関係ができ、仲良くなっていった組織は、個人の力の掛け算によって組織の成果が生まれます。
マネージャーとしては、3つ目の組織を目指していきたいものです。
さいごに
新しい部署に配属されたときの部下との接し方についてまとめました。
もともと筆者は「仲が悪いよりは仲が良い方がいい」という考えで、新しい部署に配属されたときに「仲良くなること」を最優先で取り組みました。
結果として、こちらから指摘しづらくなり、自分の負担が増えるだけとなってしまいました。
同じようなことにならないよう、本記事が皆さまの参考になれば幸いです。